2008年05月02日

院内暴力に対する対策を施しているところは全体の2割。

院内暴力に対する体制整備は2割

 全日本病院協会(全日病)が会員医療機関に実施したアンケート調査で、院内暴力についての報告制度を実施している医療機関は全体の4割であることが分かった。しかし、組織的に対応する委員会などの場を設けているのは全体の2割にとどまっている。全日病の川島周常任理事は「患者からの暴力は、われわれにとって想定外のもので、対応のための組織体制は不十分。今後、シンポジウムなどで医療機関に対して啓発していきたい」と話している。

 調査は昨年12月から今年1月にかけて、会員の2、248病院を対象に実施。有効回収率は49.2%だった。

 調査結果によると、患者や家族などから職員が受ける暴力を把握するため、報告制度を「実施している」との回答は41.0%。「検討中」の18.3%を加えると59.3%で、6割近くの医療機関が院内暴力に対する体制整備の必要性を認識している様子がうかがえる。

 しかし、実際に委員会など組織的なリスク管理体制を「整備している」は22.0%、「検討中」は23.3%で、合わせても半数を下回っている。報告制度はあっても、問題に対応したり、改善策を検討したりする場が整っているとは言えないのが実情だ。

 所轄の警察と定期的に打ち合わせをしている医療機関はわずか2.3%で、45.7%が警察との特別な連絡体制を有していなかった。院内暴力に対するマニュアルやガイドラインを作っているのは16.2%、暴力を受けないようにするための研修などを実施しているのは12.7%にとどまった。

 院内暴力への保安対策(複数回答)としては、「防犯ビデオ・カメラの設置」が40.7%で最も多く、以下は「深夜の帰宅を避ける」21.1%、「ユニフォームの変更(スカートからパンツへの変更など)」20.3%、「過去に暴力行為のあった患者のスクリーニング」20.0%などの順だった。

 調査では、52.1%と過半数の医療機関が過去1年間に暴力を受けたことがあると回答した。患者やその家族から受けた暴力の件数は延べ6、882件で、殴るなどの「身体的暴力」が2、315件(34%)、暴言などの「精神的暴力」3、436件(50%)、「セクハラ」935件(14%)など。このうち、家族からの暴力は904件(13%)と1割を超えた。特に「精神的暴力」が784件(87%)と、「身体的暴力」の62件(7%)、「セクハラ」の35件(4%)に比べて圧倒的に多かった。

 川島氏は「女性医師が男性患者に殴られたり、患者の家族から『病院なのになぜ治らない』と詰め寄られたりするなど、以前には考えられないような暴力が起こっている。行政も、医療機関へのかかり方などを患者に啓発してほしい。こうした暴力は、病院だけでなく教育機関でも起きており、全国的な問題」と話している。

 全日病は院内暴力への対応マニュアルを既に作成しており、今年11月には啓発シンポジウムを開くなど、今後も啓発活動を続けていく考えだ。



 医者は治して当たり前だ、というような風潮が生まれつつあるんでしょうね。

 医療従事者も、患者に対しては敬語、丁寧、親切、と、まるでサービス業のような感じになってますし、学生にも同様の教育を施しています。○○させていただいても宜しいでしょうか?と非常に低姿勢。 まぁ患者に同意をとる、という、訴訟社会ならではのことなんでしょうけれどもね。

 難しいところですねぇしかし。折り合いがつくのかどうか、というところ…。

 しかも病院側は対策しようにも、患者のプライバシーが優先されるので、どうしても防犯カメラなどは制限されるでしょうし。今の日本では、患者に暴力をふるわれても「病気だからしょうがない」としてしまいそうです。逆に過敏な対策をとってしまうと、治療に支障がでるほど、患者と医者の間の溝が深まりそうな予感が。

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posted by さじ at 00:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | NEWS
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