物事を論理立てて話せる子に育てようと思ったら、まず身近なことから始めてみるのがいいでしょう。
例えば、子どもが「任天堂のゲームを買って欲しい」と言ったら、「なぜ?」と親が必ず聞き返してみる。理由を言ったら、それについてまた疑問を述べ、再び「なぜ?」。そうするうちに「僕はこうしたい。なぜなら……」と自然に言えるようになるはずです。
家族で「反論ゲーム」をやってみるのも楽しいでしょう。先日の授業で盛り上がったのは「漫画を読むと頭が悪くなる」という「お題」でした。「もし漫画を読むと頭が悪くなるというなら……」に続く言葉をまず考え、「なぜならば」に続ける。
子どもたちの反論は「漫画家は全員頭が悪いということになる。なぜなら、常に漫画を読んでいるから」「学習用の漫画も意味がないことになる。なぜなら、漫画で勉強内容を説明しているから」「教科書を読んでもいけないことになる。なぜなら、教科書にも漫画が載っているから」……。身近なお題だと、1人で四つぐらいはすぐに出てきます。その中で、どの反論がいいか、話し合ってもおもしろいと思います。
私も小さい頃、漫画が大好きでした。今も好きですけれど。
親は活字中毒ともいえるほどの本好き人間で、私も小さい頃から活字を読むのが好きでした。私と親の違うところは、私が両方好きなのに対して、親は漫画を認めていない点でした。
当然のように小学生の私と親の「漫画と書籍、どちらが優れているか」論が交わされました。どちらにも良さがあると主張する私と、漫画よりも書籍のほうが圧倒的に得るものがあると主張する親。
最終的には私の論が認められ、活字ばかりだった親も、ある程度の漫画は読むようになりました。特に「ドラえもん」、「動物のお医者さん」など。
本を読むことで得られるものは、そりゃ膨大なものです。漫画だけしか読まない人間、活字本しか認めない人間の狭量さが、よろしくないだけです。両方読めばいい、ただそれだけのことです。
今振り返ってみても、どちらがタメになったかといえば、両方だな、と思います。情報処理、思考力って、そういうものです。
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