手足のまひや視覚障害などが出る難病「多発性硬化症」の治療薬インターフェロンベータの使用後に、症状の悪化や副作用のため治療を中止した例が37%にのぼることが、厚生労働省研究班の緊急全国調査でわかった。
日本神経治療学会と日本神経免疫学会は2004年、一時的に症状が悪化しても進行を抑える可能性があるので薬の使用を中止すべきではない、とする治療指針を作成したが、両学会はこの指針の見直しを始めた。
この薬の使用後、手足のまひが急激に進行して歩けなくなるなどの患者が7人いた、との報告があったため、厚労省研究班は全国977医療機関に緊急調査を実施した。治療を受けた患者計308人のデータを分析したところ、37%に当たる114人が治療を中止していた。理由は「副作用(40%)」「効果がない、不十分(19%)」「症状が悪化(11%)」などだった。
中でも、日本人患者の約3割を占める「視神経脊髄型」と呼ばれるタイプの場合、血液検査で抗体が陽性だった17人のうち14人が治療を中止していた。理由は「症状の悪化」が最も多かった。
難病、多発性硬化症の治療法の1つがなくなってしまうかも。まぁ副作用なら仕方ないですけれども。
これに関しては以前も取り上げたことがあります。
医学処:多発性硬化症の視神経脊髄型にインターフェロンを用いて悪化
この時は、まだワカランというアレでしたけれど、どうやら結構な割合で悪くなるらしいです…。
多発性硬化症は、日本では、人口10万人あたり8〜9人程度が発症します。簡単に言うならば、神経がヤラれてしまう病気です。
視神経のみが侵されると、球後視神経炎となります。脳幹が障害されると、目を動かす神経が麻痺してものが二重に見えたり(複視)、目が揺れたり(眼振)、顔の感覚や運動が麻痺したり、ものが飲み込みにくくなったり、しゃべりにくくなったりします。
小脳が障害されるとまっすぐ歩けなくなりちょうどお酒によった様な歩き方になったり、手がふるえたりします。大脳は大きいので少々の病変が起こっても症状を出さないことが多いようです。
脊髄が障害されると胸や腹の帯状のしびれ、ぴりぴりした痛み、手足のしびれや運動麻痺、尿失禁、排尿障害などが起こります。
このように、どこの神経がやられるかによって、出てくる症状が異なるのも、多発性硬化症の1つのポイントといえるでしょう。文章で見るだけでも恐ろしい病気です。これもiPS細胞を使ってなんとかならないものですかね。。。
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