東京都文京区の日本医科大学付属病院で、過去約10年間に心電図検査を受けた延べ約1万7000人分の患者の氏名や病名、検査結果などの個人情報が入ったパソコン1台を紛失していたことが16日、わかった。
病院側は9日に紛失に気付き、10日に警視庁駒込署に盗難届を出した。同署で窃盗事件として捜査している。同病院は11日にホームページ上で紛失の事実を明らかにしたが、患者への直接的な説明や謝罪はまだ行っていない。
同病院によると、紛失したパソコンに保存されていた情報は、氏名のほか、受診当時の病名や心電図モニターの結果、病院内で使用する患者識別番号。生年月日や住所、電話番号などは記録されていなかった。
病院内のパソコンはパスワードを設定するように規則で定めているが、同病院のその後の調査に対し、職員は「パスワードは設定していなかった」と話しているという。
紛失したパソコンは、病棟3階にある検査室に置かれていたデスクトップ型の2台のうちの1台。検査室で心電図検査を受けた患者のデータを記録していたが、今月8日、検査室が手狭だとして、2台のうちの1台を午前10時ごろに廊下に移した。
翌9日に職員が紛失していることに気づいて捜したが見つからず、10日に同病院医療安全管理部に報告し、警察と東京都に届けた。病院によると、これまでも患者や職員で混雑した時は廊下にパソコンを出すことがあったという。
患者情報の紛失について、甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は「病気というデータ内容は、特に人に知られたくないものであり、重大な問題だ。患者に早急に連絡し、直接謝罪するのは当然のことで、流出の原因や今後の対応についても説明すべきだ」と話している。
患者情報をパソコンに取り込むことができる、非常に便利な時代になりました。紙カルテよりも得たい情報を容易に取り出せる他、他科に受診していた情報や服薬歴なども簡便に得ることができます。
しかしながら、それは「うまく使った場合」の話です。便利ということは、それだけ個人情報を簡単に取り出すことが出来るというわけでして。患者さんの大切な情報を扱うのですから、それ相応の保管の仕方、を考えなければいけませんね。
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