いつ発生してもおかしくないと言われる新型インフルエンザ。世界的な流行が心配される中、国は新型インフルエンザ対策の見直しを進めているが、家庭ではどんな備えをしたらいいのか。いざというときのための取り組みが始まっている。
鳥類などのインフルエンザウイルスが変異し、人に感染して大流行したとみられる事例は過去にもある。「スペインかぜ」(1918年)では日本でも2300万人が感染、39万人が死亡した。厚生労働省は、いま新型インフルエンザが全国に流行すると医療機関を受診するのは最大2500万人で、64万人が死亡すると推計している。
同保健所保健予防課長の鷹箸右子さんは「通常のインフルエンザとの違いを知らない人もいる。危機感を持って取り組んでいる」と話す。
交通手段が発達した時代、世界のどこかで発生したら、日本にウイルスが入ってくるのは時間の問題だ。しかし、新型インフルエンザウイルスを採取してワクチンを製造し始めるまでには半年ほどかかるとみられる。
すでに鳥インフルエンザウイルスから製造している備蓄ワクチンがあるが、国は医療関係者や電気・水道などライフライン(生活物資補給路)従事者ら1000万人を優先的に接種するとしている。現状では、流行が始まっても多くの人がすぐにはワクチンを接種できない。国立感染症研究所研究員の岡田晴恵さんは「ウイルスにさらされないよう注意する。外出は極力控え、人が集まる場所には行かない。手洗い、うがいも欠かせない」と指摘する。
発熱など新型インフルエンザを疑わせる症状がある場合、いきなり近所の医療機関を受診してはいけない。待合室で他の人に二次感染させてしまう恐れがあるからだ。保健所に設置される「発熱相談センター」にまず連絡する。
大流行になると物流が止まるなど社会活動にも影響が出そうだ。このため食料や日用品、医薬品の備蓄が必要となる。厚生労働省はホームページで最低限(2週間程度)の備蓄を勧めている。ただ、「流行の波は2か月くらい続くとみられるので備蓄量を考慮した方がいい」と岡田さん。
こうした対応策を学ぼうと、昭和女子大付属昭和小学校(東京)の父母会は今年2月、新型インフルエンザに関する講演会を開催した。流行時には、外で遊ばないことなどを子どもに理解させておくことが対策になる。「知識がないまま、流行に出合うとパニックに陥る恐れがある。普段からの準備が肝心」と岡田さんは強調している。
新型インフルエンザ対策 医師らに6000人接種
厚生労働省は15日、流行が懸念される新型インフルエンザに備え、備蓄している鳥インフルエンザウイルスのワクチンを、今年度中に医療関係者や検疫担当者など6000人に事前接種する計画を発表した。
ワクチンの安全性や効果を確認することが目的で、16日に開く専門家による会議で正式決定する。
各国政府もワクチン備蓄を進めているが、実際に接種を始めた国はまだなく、実施されれば世界初の試みとなる。
接種するワクチンは、インドネシアや中国で人に感染したH5N1型の鳥インフルエンザウイルスをもとにして作製した。接種対象は、臨床研究のため、流行時に患者に接する可能性が高い医療関係者などから募る。接種の結果、問題がなければ、警察官など社会機能を維持する職種の1000万人に接種することも検討する。
政府は現在、こうした事前接種用のワクチンを2000万人分備蓄している。厚労省では備蓄量を増やすことや、新型インフルエンザ発生後に開発する新たなワクチンの製造期間短縮も検討する。
こういうことには早いのにねぇ。他の薬も同様に早めに行動してもらえないものでしょうか。
我々には医学的知識があります。感染性のものへの大原則は、「二次感染の防止」です。これは医療従事者だけではなく、一般の方にも言えることです。
しかし残念ながら自分中心の考え方をしていると、新型インフルエンザは防げません。広がりに広がります。
最近では、大学病院や総合病院などの大きな病院では、新型インフルエンザに感染した疑いのある人は、まず誰にも接触しないような場所で診察を行うようになっているのではないでしょうか。そういう工夫や意識が、一般の方にも必要だと思うのです。
どんな感染症でも、意識さえ変われば、極力防げるものだと思います。人類対感染症の壮大な闘いは、人類の意思次第で未然に防ぐこともできるかもしれません。