狭まった血管に入れて広がりを保持する「ステント」という医療器具を、体内で分解・吸収される製品とすることに、京都のメーカーが成功した。欧州基準への適合を認められ、初夏にも欧州で発売される。生体吸収性ステントは欧米で研究中だが、販売のめどが立ったのは世界初という。将来は日本でも承認を目指す。
開発したのは、医療器具製造販売「京都医療設計」(京都市山科区、伊垣敬二社長)。器具は網型の筒状で直径5〜8ミリ、長さ3.6センチ。動脈硬化などで狭まった血管内の病変部に入れ、風船状のバルーンカテーテルで押し広げて固定。血流を確保する。今回の製品は、材料に生体分解性ポリマーのPLLAという合成樹脂を使用。水分で分解されて2〜3年後には血管内に吸収されるのが特徴だ。
PLLAは、今も骨をつなぐピンとして治療に使われている。開発では血管内で筒状の形を数カ月保てる強度にするため、化学構造を工夫した。
03年からドイツなどの病院で臨床試験。昨秋、医療器具としての流通が可能になる欧州の安全性基準「CEマーク」を取得した。足の血管が詰まる閉塞性動脈硬化症などを対象に販売される。
従来の金属製ステントは、一度挿入すると取り出せない。入れた場所より奥で再び狭窄が起こっても、残ったステントが邪魔になって再挿入できなかった。生体に吸収されれば後年、再び挿入できる。子どもに対しても、成長に応じて大きさを変え、複数回入れられると期待される。
同社は従業員約60人の小規模メーカーで、ステント担当はうち10人。技術者でもある伊垣社長が先頭に立ち、15年かけて開発した。「挿入しやすさや細い血管への適用は、まだ金属製に劣る。改良を重ねて実績を積み、いずれは日本で承認をとりたい」と伊垣社長は話す。
一番理想的なステントは、「入れたらもうずっと狭窄が起こらないもの」なんでしょうけれど、なかなか難しいんですよね。どうしても再狭窄しやすいものなので。
これはそんなときのために、あらかじめ吸収されてしまうモノらしいんですけれど、つまり再狭窄前提の代物なんでしょうか?多分溶けてなくなったらまた狭窄するような…。2,3年ごとに入れればいいんでしょうけれど、むーん
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