2008年03月21日

潰瘍性大腸炎とクローン病治療薬「ペンタサ」

杏林製薬など、潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ペンタサ錠500」の製造販売承認を取得

 株式会社キョーリンの子会社である杏林製薬株式会社(本社:東京都、社長:荻原郁夫)と関連会社である日清キョーリン製薬株式会社(本社:東京都、社長:松田孝)が販売中の潰瘍性大腸炎・クローン病治療剤「ペンタサ(R)錠250」(一般名:メサラジン)の剤形追加として、日清キョーリン製薬(株)が3月7日付けで厚生労働省より「ペンタサ(R)錠500」の製造販売承認を取得しました。

 「ペンタサ(R)錠500」は、現在発売中の「ペンタサ(R)錠250」の1日服用錠数を減らすことにより患者負担を軽減し、コンプライアンス並びにQOLの改善を目的に開発しました

 また、円形錠である「ペンタサ(R)錠250」と識別し、かつ飲み易くすることを目的としたカプセル型の変形錠としました。

 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎及びクローン病)は、下痢や下血を頻回に生じ、社会生活に支障をきたす難治性疾患です。その病因は特定されておらず根本的治療法が無く、ペンタサなどのメサラジン製剤やステロイド製剤等により、活動期症状を抑え、緩解に導入すること及び緩解状態を維持することが治療目標となっています。

 本剤はFerring社(スイス)により開発された薬剤であり、国内においては日清キョーリン製薬(株)が開発を進め、杏林製薬(株)と日清キョーリン製薬(株)では1996年7月より「ペンタサ(R)錠250」を販売し、潰瘍性大腸炎・クローン病の治療に貢献してまいりました。

 今後は、杏林製薬(株)と日清キョーリン製薬(株)の両社で「ペンタサ(R)錠250」「ペンタサ(R)注腸1g」に加えて「ペンタサ(R)錠500」に関する最新の情報提供を継続的に行うことにより、今後も炎症性腸疾患の治療に一層貢献してまいります。



 消化器の難病疾患といえば、潰瘍性大腸炎クローン病です。しかし当ブログではあまり取り上げてこなかったので、ここらで1つまとめてみたいと思います。

 潰瘍性大腸炎とは、大腸が炎症を起こす病気です。直腸から連続的に炎症が起こり、粘膜や粘膜下層が中心となります。粘血便を呈し、寛解したり、また再発したりします。

 内視鏡検査や注腸造影で、多発性びらんや潰瘍、偽ポリポーシスを呈し、更にハウストラの消失(鉛管像)を認めます。生検すると炎症性細胞浸潤や陰窩膿瘍などがあるのも特徴の1つです。

 潰瘍性大腸炎では中毒性巨大結腸症を合併しやすく、その30%に穿孔が合併するため、死亡率も高い疾患となります。更に潰瘍性大腸炎は大腸癌のリスクファクターとなります。

 クローン病は、よくある有名な「クローン技術」とは何も関係なく、Crohnさんが発見したためにCrohn病と呼ばれます。こちらも原因不明の疾患です。

 クローン病は潰瘍性大腸炎と異なり、消化管ならどこにでも起こります。更に連続的ではありません。加えて、消化管以外にも症状を来たすことがあります(仙腸関節炎、結節性紅斑、虹彩炎、ぶどう膜炎など)

 症状としては腹痛、下痢、体重減少、そして肛門病変などがみられます。

 検査では腸管の長軸方向に縦に走る「縦走潰瘍」や、石をしきつめた歩道のように見える「敷石像」などが特徴的です。更に生検では非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が有名です。

 潰瘍性大腸炎との違いとしては、クローン病のほうが血便は比較的まれで、通常は下痢であること、口腔内アフタや結節性紅斑がみられること、非連続性であること、などがあります。

 潰瘍性大腸炎もクローン病も、10代から20代と若い時期に発症します。特に若い女性ですと、血便などのおなかの症状を恥ずかしがって病院を受診しないケースも多いため、この2つの疾患については一般的な知識として留めていただきたいところです。

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posted by さじ at 04:15 | Comment(0) | TrackBack(0) | 消化
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