◆搬送の多くは20代
アルコールは胃や小腸から吸収され、主に肝臓で時間をかけて代謝される。だが、短時間に大量に飲酒すると代謝が追いつかず、血中のアルコール濃度が急激に上昇する。この影響で脳がまひし、意識障害や運動失調、さらには生命の危険まで招きかねないのが急性アルコール中毒だ。
適正な飲酒習慣の啓発活動をしているアルコール健康医学協会(東京都文京区)のまとめでは、個人差はあるが、血中濃度0・16〜0・30%の酩酊期は千鳥足になり吐き気がする。0・31〜0・40%の泥酔期になると意識がもうろうとし、一人で立てなくなったり、言葉が支離滅裂になる。0・41%以上の昏睡期では揺すっても起きず、半数が1〜2時間後に死亡するという。
飲酒後、血中アルコール濃度がピークになるまで30〜60分かかる。この間に一気に飲むと、ほろ酔いなどを飛び越して「これ以上飲むと危ない」と自覚できないまま、泥酔や昏睡状態に陥ってしまう。
東京消防庁によると、急性アルコール中毒で救急搬送された人はこの5年間、減少している。それでも昨年は1万2545人(男8037人、女4508人)。20代が5888人と半数近くを占め、30代が2455人で続く。歓迎コンパで一気飲みをしたり、上司や先輩から「おれの酒が飲めないのか」と無理強いされる様子が目に浮かぶ。
4月は忘年会シーズンの12月に次いで多く、昨年は1138人が搬送された。桜が開花した3月20日〜4月8日の20日間の花見シーズンは97人で、うち43人が20代。日曜日でピークの4月1日には40人が病院に運ばれた。
アルコール健康医学協会の古屋賢隆常務理事は「空腹時に濃い酒を一気に飲むのが一番危険」と警鐘を鳴らす。空腹時はアルコールの吸収が早い。つまみを食べながらだと吸収は遅くなる。たんぱく質やビタミンを多く含む食べ物を味わいながら飲むといい。その日の体調にも気をつける。酔いつぶれた人がいたら一人にせず、誰かが必ず責任を持って付き添う。呼びかけても揺すっても反応がない時は、迷わず救急車を呼ぶ。
あおむけは危ない。舌の付け根がのどに落ち込んだり、吐瀉物がのどに詰まって窒息する可能性がある。無理に吐かせず、空気の通り道を確保し、吐瀉物も自然に流れるように横向きに寝かせる(回復体位)。ベルトなど体を締め付けている物は外す。体温が下がらないよう上着や毛布を掛け、できれば、脱水症状気味にならないよう水やお茶など水分を補給させる。
古屋理事は「自分の適量を知り、自分のペースで飲むことが大切。周囲も無理強いせず楽しく飲んで」と呼びかける。
お酒はおいしく飲むもの。その大前提が「ノリ」で覆されてしまうのが日本の馬鹿なところです。
最も理解できないのが、自分が飲みたくて飲んでいるわけではなく、他人に飲まされるということですね。一体何なんでしょうね。欧米では親しい友人間でも、酒を強要することは絶対にしないそうです。顰蹙を買うとか。日本も良識ある人なら大丈夫なんですけれど、会社の呑み会など、上下関係のある場で、良識のない人が上にたつと、一気飲ませなどの馬鹿な現象が起こってしまいます。
私も酒に強くないタイプですので、そういう呑み会ではうまく立ち回って、うまく避けますけれど、何で自分が努力してそういう風にしなければいけないのか、と毎回思いますね。むしろ少数で非常に面白い話をしながら飲むほうが好きです。
知性のかけらもない「コール」で人を殺すぐらいなら、酒なんて呑まないほうがいいですね。おいしく楽しく呑みましょう。
関連
医学処:専修大学生が一年生に酒を一気飲みさせ殺害
医学処:熊本大学の医学生が一気飲みで死亡。山本哲郎教授らに賠償命令