東京大の中内啓光教授のグループが万能細胞の一種である胚性幹細胞(ES細胞)を使い、腎臓や膵臓をつくる遺伝子を欠いたマウスの受精卵から、こうした臓器をもつマウスをつくることに成功した。受精卵にES細胞を注入したら臓器がまるごと再生された。将来の人間の臓器づくりの手法開発の足がかりになりそうだ。13日からの日本再生医療学会で発表する。
中内教授らは遺伝子操作で腎臓がないマウスをつくった。このマウスの受精卵が細胞分裂を始めた初期の段階で、正常なマウスのES細胞を注入し、子宮に戻した。
すると、生まれたマウスにはちゃんと腎臓ができていた。調べたら、注入したES細胞から腎臓ができたことがわかった。この腎臓が機能して、尿がつくられ、ぼうこうにたまっていくことも確かめた。
同様の手法で膵臓も再生できた。血糖値の変化から、膵臓もほぼ正常に働いているとみられた。
この成果を受けて、グループは新年度、サルの膵臓をブタの体内で再生させる研究を始める。
中内教授は「狙った臓器を、体の中で発生の過程をたどって再生できたことが大きい。臨床応用につながるよう研究を進めていきたい」と話す。
腎臓をつくる遺伝子がないにもかかわらず、ES細胞を入れると腎臓が丸ごと出来てしまうという…ふしぎ!!
足りないものを補うような機構がはたらいたんですかねぇ。
サルの腎臓を豚で作ることができれば・・・人間の腎臓を丸ごと豚で作ることもできるようになる、かも?そうなったら倫理的なことを抜かせばだいぶ移植で助かる人も増えると思うのです。
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