インドネシア・バリ島行きの旅客機内で、心肺停止状態になった男性客を乗客の女性看護師が心臓マッサージなどの緊急措置をして一命をとりとめていたことが、分かった。機内で急病患者が出た場合、乗客の医師などに協力を求めるケースは多いが、日本航空は「心肺停止ほどの重篤患者は珍しく、とても感謝している」と話している。
男性客を救ったのは、滋賀県栗東市の済生会滋賀県病院に勤務する柴田育英さん(23)。
先月28日、妹(21)とバリ旅行のため関空発の日航機に乗っていた。夜勤明けの疲れで機内で眠っていたが、斜め前の座席で60歳代の男性が倒れた物音に気付き、目をさました。
呼吸音から、舌がのどに詰まる舌根沈下の状態であることに気づき、駆け付けたが、男性はすでに心肺停止状態。気道を確保しながら心臓マッサージを始めたところ、機内に乗り合わせていた別の女性看護師2人も協力し、男性はまもなく息を吹き返した。
意識を回復した男性は、家族に付き添われてバリ島の病院で、改めて治療を受けたという。
柴田さんは看護師になって2年目。救急医療に苦手意識があるといい、その分、積極的に勉強会に出席するなど努力を重ねていた。機内でのことについて「とっさの行動でしたが、研修で身につけた技術が役立ってよかった」と振り返る。
素晴らしい。看護師になって2年目。見事に生かされていますね。
舌根沈下というのは、舌が奥のほうに入ってしまって、気道がふさがれてしまう状態ですので、気道を広げてやらなければいけません。そのために傷病者の額に手を当てて、もう一方の手で顎を持ち上げ、頭を後屈させる「頭部後屈顎先挙上法」が気道確保のために用いられます。
迅速な行動、適切な対応で救われる命って結構あると思います。AEDも普及してきましたし、色んな機会で一般の方でも救命方法を習うことが増えてきたと思いますので、あとは「勇気」の1つだけ。
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