横浜市立大医学部(横浜市金沢区)の医学部長(64)の研究室が、医学博士の学位を取得した大学院生らから、謝礼として現金などを受け取っていた疑いがあることが12日、分かった。
長年の慣例で行われていたとみられ、横浜市大は、医学部長側が受け取ったとされる現金の趣旨や総額、使途などを詳しく調べている。
また、ほかにも医学部の10人以上の教授の研究室が博士号の取得に絡み、謝礼を受け取っていたとの情報もあり、同大は確認を急いでいる。
関係者によると、医学部長が所属する「消化器病態外科」(旧第2外科)では毎年、数人の大学院生が医学博士号を取得。謝礼として現金30万円程度を、学位取得後に医学部長側に渡していたという。
横浜市大によると、昨年11月、学内の「コンプライアンス推進委員会」に通報があり、同委員会が、医学部長や元大学院生らから事情を聴くなど調査を進めている。
横浜市大は12日午前、記者会見したが、受け取ったとされる現金の趣旨などに関する医学部長側の説明については「調査結果が出るまで一切明らかにできない」としている。
学位取得の謝礼 菓子折り添え30万円…横浜市大
横浜市立大医学部(横浜市金沢区)の学部長(64)の研究室で、学位取得の謝礼として現金の授受が行われていた問題で、「謝礼」を渡した医師が読売新聞社の取材に応じ、菓子折りに現金が入った封筒を添えて渡すよう先輩に教わるなど、現金授受が慣習化していたことをうかがわせる実態を証言した。
医師は、学位審査を巡って現金をやりとりするのは許されないとの認識を持っていたが、「皆がしていることを、自分がひっくり返すことは怖くてできなかった」と複雑な胸の内をのぞかせた。
この医師によると、博士号の学位認定審査後、風呂敷に包んだ菓子折りを持って、学部長の教授室を訪ねた。30万円の入った封筒を見えやすいよう菓子折りに添えて渡したところ、学部長は、「当然のことのように受け取った」という。
学位審査は、主に研究室以外の教授が務める主査と准教授らの副査が行う。医師は、副査にも10万円を渡そうとしたが、「その場で現金が入った封筒を突き返された」とする。さらに、渡した金額については「学位を取った人たちに『学部長が第2外科の教授に就任(1992年)してから同じ額』と聞いたので、その額(30万円)にした」と語った。また、現金の趣旨については、「学部長は、学部では絶対的な権力者。謝礼を渡さなかった場合のリスクを考えた」と打ち明けた。
関係者によると、学部長は大学の調査などに対し、「自分からは謝礼を要求していない。受け取らないこともあった」と答え、「人事にはつながっていない」と謝礼の有無と人事との関連を否定しているという。
横浜市大医学部長、謝礼授受を認める
横浜市立大学医学部長が、医学博士の学位を取った医局員らから謝礼金を受け取っていた疑いのある問題で、嶋田紘学部長(64)は12日、大学を通じてコメントを発表し、金銭の授受を認めた。謝礼は研究報告会や懇親会用などとして医局で積み立てたが、すでに返還したとした。複数の関係者によると、返金は、昨年12月に名古屋市立大の博士号取得をめぐる汚職事件が発覚した直後に始まったという。
嶋田学部長はコメントの中で、大学院生や研究生が研究を進め、学位を取得するまでには実験試薬や参考文献の購入など多額の経費が必要だとして、「学位が取得できた時に、謝礼の意味で持ってこられた人もあり、その場合に受け取り、預かった経緯がある」と金銭の授受があったことを明らかにした。
使途については「毎年行っていた研究報告会、それに続く懇親会、学位取得に対する記念品などのために医局で積み立てた。個人として受け取ったものではない」と説明した。そのうえで、「目的がいかなるものにせよ金品の授受については誤解を受けるものと考え、医局長と相談の上、返還している」とした。
一方、複数の関係者は「学部長側が謝礼の返還を始めたのは、名古屋市立大の事件が発覚した後の12月中旬以降」と話す。
嶋田学部長や医局長経験者が複数の医局員宅などを訪れ、返金した。医局員らは、博士号を取得した後に嶋田学部長に渡した謝礼と同額の返金に応じたとされる。ここ3年間で受け取った金銭はほとんど返したという。
返金に応じた際、学部長側から「無かったことにしてくれ」「家族にも口外しないように」と口止めされた医局員もいるという。
名古屋市立大の収賄事件を受けて、横浜市立大では昨年12月、「学位取得をめぐって金品を受け取るのはあってはならないことで、地方公務員法に触れる」という内容の注意喚起を促す文書を、学長と理事長名で教授らに出していた。
嶋田学部長側の返金について、関係者は「名古屋市立大のように収賄罪に問われるのを恐れて返したのではないか」とみている。
医学博士号を持っている医師と持っていない医師、どちらが優れているかというと、実は全く変わらないというのが正直なところです。
学位は教授や准教授からなる「主査」1人と「副査」2人が申請者の博士論文と口頭試問で審査する。主査と副査がそれぞれ60点以上(100点満点)と評価すれば、教授ら約40人で構成される教授会代議員会に諮られ、学位の取得が決定する。
しかも論文や口頭試問を、教授らが審査するという点。そのために今回のような、賄賂のようなものがまかりとおってしまうのです。未だに大学病院は封建的だと言われますが、実際そうですからね。昔より露骨ではないとはいえ。
個人的に使ってないとはいえ、そういった「悪しき慣習」を黙認していたのは、長としてはダメですね。どう言い逃れしようとも、受け取っていたのは事実なのですから。こういうことが明るみに出る前に自分から無くしていくぐらいのクリーンさが欲しかった。
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