卵子や精子などの染色体の数が異常になるのを防ぐ8種類の遺伝子を、大阪大蛋白質研究所の篠原彰教授らがパン酵母で見つけた。人間にもよく似た遺伝子があり、同じ機能を担うと考えられる。流産の半数以上やダウン症などの病気は染色体数の異常で起き、8遺伝子の変異が関係している可能性があるという。25日、米科学誌ネイチャー・ジェネティクス(電子版)に掲載される。
人間は、ひも状の染色体を23対、46本持つ。染色体数が半分になる減数分裂という過程を経て卵子や精子が作られ、卵子と精子の受精で元の染色体数に戻る。この時、21番染色体が1本多いとダウン症になり、他の染色体で増減があると多くは流産になる。
減数分裂の際、一対の染色体は一部を交換しあう「組み換え」という現象を起こす。組み換えが起こらないとその染色体は正常に分かれず、できた卵子や精子は染色体数に異常があることが知られている。
幅広い生物で、重要な機能を持つ遺伝子は共通している。篠原教授らは遺伝子を調べやすい酵母を利用。染色体数の異常で胞子(精子や卵子に相当)をうまく作れない酵母を探し、遺伝子の異常を調べた。8遺伝子のどれかが壊れていると、組み換えが起こらない確率が高まった。
8遺伝子が作るたんぱく質は結合して一つの複合体を作っており、組み換えを確実に起こす役割を果たすと考えられる。篠原教授は「流産などがこのたんぱく質の機能低下で起こっていれば、治療や診断に利用できる」と話している。
おそらくこの遺伝子が解明されれば、トリソミーやモノソミーなどの染色体異常の出現を減らすことは出来る、と思います。
しかし染色体異常に関する問題は、なかなか微妙なんですよね。産み分けの問題とかもありますし。
でも、先天性の異常や障害なんて、そりゃ無いほうがいいに決まってますし、もしこの遺伝子の解明が進んで、治療が可能になれば、生まれてきて苦しむ子供や生後1年で亡くなる子どもなども減るかもしれません。それは、良いこと、な気がします。明言できないのがツラいところですが。
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