牛乳は体に良いか悪いか−。数年来、新谷弘実医師Vs酪農協会の間で繰り広げられている牛乳論争。昨年末に牛乳有害説を主張する新谷氏に公開質問状をたたきつけるなど、ケンカを売られた酪農協会側も負けてはいない。消費者やマスコミを集めて講演会を開き「牛乳無害」をアピールしているが…。
そもそもは、新谷氏が著書「病気にならない生き方」で、(1)牛乳カゼイン(タンパク質)は消化が悪い、(2)牛乳を多く飲むと骨粗しょう症になる、(3)牛乳の脂肪は酸化されやすいなど、牛乳批判をぶちまけたのが事の発端だ。それでなくても、国民のダイエット意識の定着から牛乳の消費は低落の一途。一方「病気にならない−」は大ベストセラーになり、酪農業界は大ダメージを受けた。
だが、ここから酪農協会側が猛反撃に出た。牛乳乳製品健康科学会議は新谷氏に対して科学的根拠を示すよう「公開質問状」を送付。ところが新谷氏側は今ひとつ科学的根拠を示せず、「これ以上の議論のしようがない」(日本酪農乳業協会)と、明らかに新谷氏の分が悪い。
日本酪農科学会主催の「牛乳市民講座」は今年度全国13カ所で行われているが、東大や京大、東北大などの牛乳に関する専門家を招き、科学的な根拠を示しながら市民に牛乳について話をしている。
今月21日には日本酪農乳業協会主催マスコミセミナーが開かれた。満員の会場で、東京大学大学院農学生命科学研究科の清水誠教授は、新谷氏の牛乳有害説を「どう考えても理解できない」とバッサリ切り捨てた。
胃腸内視鏡分野の世界的な権威でもある新谷氏。現在のところ、この名医を相手に、酪農業界側が論破に成功している模様。だが、牛乳の消費低迷は依然続いている。バトルよりも、消費者に対するさらなるアピールも課題といえそうだ。
現代医学は、根拠に基づいていますからね。根拠のある医療を心がけてきたからこそ、これだけ発展し、治療効果を上げることに成功しているわけです。
牛乳が身体に悪いことを批判するのであれば、それなりの根拠がなければいけません。科学的根拠を示せていないのであれば、それは言いがかりといいますか、反論されても仕方のないことですからね。「こう思うんだけど」という主張を自書で述べて、国民に浸透してしまったら、どうするつもりなんでしょうね。責任感のある言動をお願いしたいところです。
そしてどちらが正しくても、相手に非を認めわびるという姿勢も、必要なものです。特に患者さんの命を預かる医療界においては。
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