関西空港の対岸にある大阪府泉佐野市の市立泉佐野病院で、激務などを理由に麻酔科の常勤医が一斉退職する見通しとなり、後任の医師を確保するため、病院側が最高で年3500万円の報酬を雇用条件に提示していることがわかった。麻酔科医が不在になれば、救急対応を含む大半の手術ができなくなる。拠点病院としての機能低下を防ぐ窮余の一策としている。
同病院の麻酔科には現在、4人の常勤医師がいるが、いずれも3月末で辞職する可能性が高い。一部の医師が昨年末に辞職を願い出たのを機に、残る医師も「補充なしで手術室を支えられない」と退職を決めたという。
年収3500万円は病院事業管理者(特別職)の約2倍。厚生労働省の調査(昨年6月時点)では、自治体病院勤務医の平均年収は1427万円で、これと比べても突出している。同病院は所属先のない「フリー」の麻酔科医に1日約12万円の報酬を支払っているといい、この水準をもとに年収をはじき出した。今月1日から大学などに要請する形で募集を始めたところ、これまでに数件の引き合いがあるという。
同病院は全国に3カ所しかない「特定感染症指定医療機関」の一つ。今夏をめどに、産科医療の中核施設「地域周産期母子医療センター」となる予定で、緊急手術に即応できる常勤麻酔科医の確保が急務だった。市幹部は「ほかの医師の給与に比べて高すぎる、との指摘が内部にあったが、手術ができない事態は避けねばならない」と話す。
大きな手術をやる際にはどうしても必要な人材ですからね…。加えて麻酔科という科は小児科、産婦人科と同じように多忙な科でもあります。患者の全身状態を把握して手術中、麻酔をかけつづけなければならないわけですから。
医療崩壊が少しずつ進んでいるともいえますね…。麻酔科医の絶対数が少なすぎるんでしょう。医学生の数を1.5倍ぐらいにして教育を今以上に厳しくすればいいんじゃないですかね。ざっくばらんな解決策ですが。
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泉佐野市はこんな計算をしたのでしょうか???
必死さは痛いほど分りますが、市議会と納税者にどう説明するのでしょうかねぇ。
何か、あの、5千万円の報酬とかで、尾鷲市の病院内に常勤ではなく
“常駐”を義務づけられた産婦人科医を思い出す方々も多いのではないでしょうか。
例え採用されても、過酷な労働+生活環境+運命が待っているような ...。
因みに私の知り限り、報酬的待遇よりも、魅力的な勤務条件の方が
ヤル気のある医師にはアピールするようですけどね。
例えば、週休2日を確保した上で、週に1日 “研究日”と称して
大学研究室に顔を出せるとか、文献をじっくり読む機会を与えるとか、
そんな勤務条件の方がアピールするような気がします。
あ、当直には残業代支給は当然ですね。
ここは専門医資格が取れる病院ですが、この勤務条件に惹かれて
他の病院から移ってこられた先生が何人かいらっしゃいます。
お金で来るような医師ならば最初から高額な給料を貰えるところに行くでしょうし、何より開業しちゃいますよねぇ。それよりはモチベーションが高い同僚がいたり、設備面が整っていたり、革新的な研究を行っている病院のほうが魅力的だと思います。まぁ、そういうのがないからこそ、お金でしか医師を呼べないのでしょうが…。
馬小屋さんの挙げてくれたような「工夫」、確かに魅力的にうつりますね。何とか工夫を施して持ちこたえてもらわなければ、なかなか医師を確保し続けることは難しいと思います。