国内で患者が増えていると言われるアスベスト(石綿)関連がんの中皮腫について、医師が患者情報を報告する症例登録が今月にも始まる。中皮腫の患者数や発症の仕組みなど、未解明な部分が多い。診断された患者の治療内容や病状の経過を追跡し、診断や早期発見、治療に役立てる計画だ。
登録システムは、国立がんセンターが中心になって整備を進め、全国の医療機関に協力を呼びかけてきた。
参加する施設は患者の同意を得た上で、診断時の病状や治療内容、生活習慣、職業歴などを記録し、同センターに登録票を送る。同センターがデータベース化し、半年に1回程度、変更された登録内容の報告を受ける。
また、病理組織や血液の情報を集める。得られた試料を提供する態勢を整え、各施設の研究を支援する。
すでに広島大病院や兵庫医大病院など約40施設が協力を表明し、各施設が倫理委員会に諮っている。100施設以上の参加を見込んでいる。
国立がんセンターの西本寛室長は「中皮腫の診断は難しく、発症の仕組みもよく分かっていない。診断や治療のために、得られたデータを役立てていくことが急務だ」と話す。
16日には東京都千代田区で市民講座「悪性中皮腫の克服に向けて」を開き、西本室長が理解を求める。
アスベストによって引き起こされると分かった中皮腫。しかしまさか特定の物質を吸い込んで引き起こされるとは誰も思っていなかったでしょうね。それも身近に使われていた建築材から。
未だに治療法と呼べるものが確立されていないばかりか、そもそもどういった経過をたどる疾患なのかも曖昧です。今後治療ガイドラインをつくる上でも、症例登録は必須となってくると思います。
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