2008年01月28日

何故医学生は法医学を志さないのか。

死因不明の遺体は15万5000体 しかし解剖医不足

 全国の警察が07年中に扱った死因不明の遺体が約15万5000体もあったにも関わらず、その1割にも満たない遺体しか解剖できなかったという。その原因は解剖医が全国に130人しかおらず、四国や九州では不在か県に1人しかいないという状況のため。23日、警視庁はこの状況を改善すべく日本法医学会に解剖体制の整備に協力を求める要望書を提出した。

 大相撲の時津風部屋の力士が急死した事件など、死因を究明する必要のある事件は多々ある。それを全て解明するためには130人ではとても足りないであろうことは素人でも分かること。一体、どうしてここまで深刻な人手不足になっているのだろうか。将来のなり手になり得る現役の医大生たちに話を聞いた

 「実習のおかげで死体を解剖することに何の抵抗も感じないようにはなりましたが、それでも『病気の人を治したい』と思って入った自分としては司法解剖の重要性は承知していても、自分がなりたいとは思わないですね」。

 また別の学生は「うーん、そういうことに興味はないですからねぇ」と話す。

 この他にも色々と聞いてみたが、「興味がないので解剖医になりたいとは思わない」「医者になるなら生きている人たちの相手をしたい」という答えが多かった。



 警察庁が、解剖医の育成協力を法医学会に要請するの関連です。

 法医学は確かに、社会医学といわれるように、社会に即した存在です。勿論、死因を究明するだけでなく、個人の識別ですとか、裁判になった際の検証などに使われます。法律との関係も強いですね。

 そのため、内科医や外科医などの知識を全て持ち合わせていなければなりません。臨床で診療を行うわけではありませんが、ジェネラリスト(全身を診る医師)といってもいいくらいです。

 医学をハイレベルな知識として捉える人にとっては、法医学ほど面白いものはないでしょう。ミクロな事象からマクロな事象まで、全てを知っていなければ、究明することなどできません。

 ただ医師を志すということはやはり人を治すことに重点が置かれますし、法医学の重要性を知っている医学部受験者などほとんどいないでしょう。たまに、必要性を知っている人(弁護士など)を親にもつ子供が法医学を志したり、警察に一度就職して医学部を目指す人などがなるケースもあるようですが。

 そもそも医学生のうちどれぐらいが、医学が好きなのかというと、おそらく1割もいないんじゃないか、という気もします。勿論医師免許をとって、臨床の場に出れば、患者さんのために頑張りますが、それと法医学を学ぶというのは、思考の次元が違うかもしれませんね。大きな意味で社会に貢献したいと思う人や、医学が物凄く好きだという人は法医学のほうが向いているかもしれません。

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posted by さじ at 01:42 | Comment(5) | TrackBack(0) | NEWS
この記事へのコメント
最近になってこの分野スポットライトが当たるようになってきましたね。
ずいぶん前から個人的な勘ですが病死扱いになってるなかで保険金殺人
が潜在的にすごくあるのではと思ってます。
解剖しても検出されない毒があるようなことを聞いたことがあるのですが
本当でしょうか?
もしそうなら医学知識を悪用されたらたまりませんね。
配偶者がいる中高年男性諸君は家庭料理に注意しなければならないかもw
Posted by イクラ at 2008年01月29日 01:45
>>イクラさん
結構な数、あると思いますよ。他殺か自然死かの間違いなんて相当数あるのではないでしょうか。

解剖しても検出されない毒、というと、時間がたって人間の身体で代謝されてしまう毒なんかは結構検出されないものです。身近な例でいうと、フグ毒のテトロドトキシンなんかも確か検出されないのではないでしょうか。フグ毒で死んだんだと分かる大部分は、その人がフグを食べたという履歴があるから、という話もあるぐらいです。
Posted by さじ at 2008年01月29日 16:56
さじさんこんにちは。
“医学界のイリオモテヤマネコ”法医学者を取り上げて頂いてありがとうございます。私自身も、法医学は非常に興味深くやりがいのある分野だと認識してはいるのですが、実際の剖検となると躊躇ってしまいますね。あれができたらそこら辺のホラー映画なんて楽しめなくなります。笑

一般の医師でも死亡診断書を発行するためある程度の法医学知識が必要なのに、現行の教育は不十分だと思います。記事にあるように教育者も不足していますし、学生もあまり法医学の重要性が実感できず適当に単位だけ取って終わりという人がたくさんいます。現場に出てからもう一度学ぶ機会はないので、学生の間にしっかり講義を聞いて知識を身につけて欲しいものです。
そういえば最近NHKのクローズアップ現代で紹介されていましたが、確か千葉では現役医師が法医学の教授を呼んでもう一度勉強しなおす会を開いていました。とはいえ多忙の中そんな時間を持つよりは一回で学んだほうが効率がいいですね。

長くなってしまいましたがこの辺で。またお邪魔させていただきます!
Posted by みどり at 2008年11月23日 11:40
みどりさん、コメントありがとうございます。

やはり学生の間では難しいんでしょうねぇ。かなり面白い分野だとは思うのですが、どうしても医学=治すというイメージが強すぎますからね。深刻な法医学跡継ぎ問題ですが、うまい解決策を講じてほしいなと思います。
Posted by さじ at 2008年11月26日 21:59
同じ共同の場を生きて来た人々に共有される、その分野に及び本領とする地上の共同世界を生きる人々にあって、だからこそ価値が備わる人々に共有されてこそ認識と共に生きて来る
Posted by みか at 2010年11月08日 21:29
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