人間の皮膚から様々な細胞に変化できる万能細胞(iPS細胞)を作製した京都大の山中伸弥教授と、筋肉から作った細胞シートで重い心臓病の治療に成功した大阪大の澤芳樹教授が、iPS細胞を使った共同研究を始めることになった。
世界初の二つの成果を組み合わせ、心筋の再生医療を目指す。
一方、京都大は22日、山中教授をトップとする「iPS細胞研究センター」の設置を正式に発表、再生医療の実現に向け、万能細胞研究が大きく動き出した。
澤教授らは昨年、患者の足の筋肉の細胞をもとにシートを作製。心臓移植が必要だった患者の心臓の周囲に張り付け、心機能の回復に成功した。シートは心筋にはなっていないため、iPS細胞から変化させた心筋でシートを作り、治療に生かしたい考えだ。
京大の研究センターは、昨年10月に開設された「物質―細胞統合システム拠点」の一部門。教授や研究員、技術職員ら10〜20人でつくる「専任チーム」と、京大再生医科学研究所などから参画する「兼任チーム」数チームで構成される。
山中教授はこの日の記者会見で「iPS研究は10年、20年と息の長い取り組みが必要なので、若い研究者を積極的に育てたい」と語った。
日本の誇る世界最先端の研究がタッグを組んだ!と半ば興奮しながらのニュースでした。
元々、心筋の細胞シートをうまく利用して再生医療を行おうとする研究には期待は大きかったのですが、更にその細胞シートをiPS細胞で作ってみようというこの研究。臓器をまるごと培養して生み出すのはまだ時間がかかりそうですが、シートを巻きつけることで機能を回復させてやろうというこの研究は、最も実現が早そうで、かつ効果のありそうな「再生医療」です。
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