統合失調症の治療薬を投与する際、山梨厚生病院(山梨市落合、千葉成宏院長)による過失で、男性患者(56)が一時こん睡状態に陥っていたことが分かった。同治療薬は厚生労働省の指示で、副作用情報を患者側に十分説明する必要があるが、病院は怠っていた。同病院によると、男性は以前の状態に回復しつつあるという。
男性は脳神経を患い、同病院と協力関係がある甲州市内の身体障害者療護施設に入所。病院側は男性の興奮状態を収めるため、同治療薬「リスパダール」を投与していた。
同病院によると、男性は12月1日、同治療薬を投与されると血糖値が異常に上昇し糖尿病を発症。一時こん睡状態に陥ったが、投薬治療などで数値は落ち着いたという。
千葉院長らは12月中旬、口頭と文書で男性の家族らに面会して過失を認め、謝罪も行ったという。
これに対し、男性の弟(52)は「伝えられたのは概要だけ」として、謝罪は受けていないと主張。面会による専門医の詳細な説明を求め続けているが、病院側は「文書で質問してほしい」と対応するだけで、不信感を募らせているとした。
千葉院長は「精神疾患の患者は特殊性があり、専門医の判断にまかせていた。(副作用情報は)大部分には伝えていない」と対応のまずさを認めた。
リスパダールは製薬会社「ヤンセンファーマ」(東京)が販売するリスペリドンの商品名。厚労省は6月の安全性情報で、服用後に糖尿病を発症したり悪化するケースが今年3月までの3年間に3件報告され、うち1件は死亡したと発表した。
精神疾患の患者さんに副作用などの薬の悪いイメージを正直に伝えていいのかどうかは、専門医の判断次第という気もします。
ただでさえ薬を飲むということに悪いイメージがあるにもかかわらず、更に副作用でなんか出るかもしれないと聞かされたら、普通の人でもちょっと飲むことに抵抗ありますよね。
それでも専門医はできるだけ注意を払わなければなりませんし、実際にこのように副作用が生じてしまうと過失責任はあると思います。今回は厚生労働省が「説明ちゃんとしておけ」と言っていた薬だったので、やらなかった医師には当然責任が生じるとは思いますが。
なんか、難しいですよねぇ。「プラセボ」だって騙すようなものですけど、実際にプラセボでうまく治療が進むこともしばしばありますし。