兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所(神戸市西区)で27日、生まれつき右腕の一部がない小学生の女の子2人が、モーター付きの特殊な義手をつけ、バイオリン演奏を披露した。同研究所では02年から、子どもを対象に、この義手の普及を進めており、楽器の演奏は珍しいという。
演奏したのは青石奈那香さん(9)=兵庫県姫路市=と大久保美来さん(7)=千葉県習志野市。2人がつけたのは、筋肉のかすかな電流をセンサーで検知して3本の指が閉じたり開いたりする「筋電義手」。
奈那香さんは、5年ほど前から義手を使い始めた。幼い頃に母の佐知子さん(36)が歌ってくれた童謡に出てくるバイオリンを弾くリスが好きだった。
美来さんは1歳の誕生日に、祖母の初美さん(65)からバイオリンをプレゼントされた。「いつか弾けるようになるはず」との初美さんの願いからだった。4年ほど前から義手をつけ始めた。
2人はこの日、職員らと計6人で、ビバルディの「協奏曲イ短調」など3曲を演奏。関係者らから拍手がわき、「アンコール」の声があがった。
美来さんの父の真さん(39)は「バイオリンをもらったときは、奇跡でも起こらないと無理だと思った。でも、現実に弾いているんです」と目を細めた。
問い合わせは、同研究所(078・925・9283)へ。
筋肉が伝える微弱な電流を感知し、思いどおりに動かすまでにどれほどの努力があったのでしょう。
しかもそれで楽器が弾けるまでになるなんて。
人を幸せにする技術というものは、無条件で応援したくなります。
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