徳島県内の医療機関で医師や看護師が患者から暴力を振るわれる被害が急増していることが、県医師会が会員七百六十七施設を対象に行った調査で分かった。今年四−八月の発生件数は既に三十四件と、昨年度一年間の三十九件に迫る勢い。患者の権利意識の高まりやモラルの低下が背景にあるとみられるが、施設側が泣き寝入りする事例も多く、医師会は相談窓口を充実するなど支援体制を強化している。
調査は、医療関係者に暴力行為や不当要求を行う患者「モンスターペイシェント」の増加が全国的に問題となっていることから、日本医師会の実態調査に合わせて今年八−十月に実施。一九九八年度から二〇〇七年度八月までに起きた暴力の件数と内容、警察の介入状況のほか、一年間の医療費未払いの件数や金額を聞いた。
内容が特定できる被害だけでも、器物破損十七件、セクハラ十六件、身体的暴力十四件、脅迫十一件、窃盗三件などとなっている。
警察が介入した悪質事例は二十三件で▽欲しい薬をもらえず立腹した男性患者が女性医師を殴ってけがを負わせた▽夜間外来で泥酔した男性患者が医師の対応に怒って窓ガラスにいすを投げつけて割った▽入浴中の男性患者が性器を女性介護職員に無理やり触らせた−など。ただ、被害が公になることをためらって通報しない施設が多いという。
徳島大学病院では、昨年度六件だった暴力行為が本年度は八月までに五件起きた。救急車で運ばれた患者が、帰りのタクシー代を貸せと医師をどう喝するなど悪質な被害が相次いだことから、十月に不当要求行為対応マニュアルを作成。暴力行為や不当要求が起きた場合の連絡体制や、複数の職員で応対するなどの手順を定めた。
一方、医療費の未払いは二百七十五施設から回答があり、約70%に当たる百九十二施設が過去にあったと回答した。件数や金額別の詳細な内訳は集計中だが、最大の徳島大病院では年平均三百件、約二千二百五十万円に上っている。各施設の対応は電話や督促状、自宅訪問による請求が中心で、差し押さえや訴訟など強い対応をとる例は少ない。
木下成三常任理事は「医療費の患者負担増加などに伴い権利意識も高まっているが、暴力や未払いは許されない。医療関係者は困ったらまず医師会に相談してほしい」と話している。
医師に対して強く出る人が増えてきたように思います。対等な関係なら非常に良いのですが、今回のように何か勘違いした人の恫喝問題などは軽視できません。
病気だから、という理由で傲慢になるのは医療従事者ならばある程度は黙認できますが、さすがに度が過ぎるようなセクハラなどはもはや警察沙汰ですからね…。良識ある行動をお願いしたいところ。
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