臓器移植後に起きる拒絶反応を免疫抑制剤を使わずに抑える新しい治療法を、小柴貴明・京都大医学研究科助教授らのグループが開発、ブタでの動物実験を開始したと、12日発表した。
免疫機能をコントロールする制御性T細胞を活用し、移植臓器を保護する。2008年度の臨床試験開始を目指す。実現すれば、免疫抑制剤の副作用に苦しむ患者にとって朗報となる。
細菌などから体を守る「免疫システム」は、移植臓器も異物とみなして攻撃するため、拒絶反応が起きる。患者は免疫抑制剤の服用を生涯にわたって強いられる上、免疫機能そのものが低下し、健康な人では問題のない感染症でも重くなる恐れがある。
小柴助教授らは、同大病院で生体肝移植を受けた患者約1000人のうち、自然に免疫抑制剤の服用が要らなくなった約50人に着目した。
それぞれの血液を調べた結果、拒絶反応を起こすリンパ球の働きを抑える制御性T細胞が、免疫抑制剤の服用者よりも多いことを発見。移植を受ける患者の血液から同細胞を取り出し、臓器提供者のリンパ球と一緒に培養し、体内に戻した後に移植すれば、拒絶反応は出ないと考えた。
マウスの実験では、この手法で、最も拒絶反応が激しい皮膚移植に成功した。
ただ、培養には約2週間かかるため、移植準備に時間をかけられない脳死移植には不向きという。
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スゲー!
普通、免疫というものは異物を攻撃します。では自分を攻撃してしまわないのかというと、してしまうわけですね。それが自己免疫疾患であり、全身性エリテマトーデスや関節性リウマチ、多発性筋炎などのいわゆる膠原病がそれにあたります。
では何故健常な人は自分を攻撃してしまわないのかというと、「自己寛容」というシステムが働くんですね。自己寛容とはつまり、自分自身を認識し、自分自身を攻撃する兵隊を「不能な状態にする」ことです。要するに免疫反応は起こらなくなります。うまいですねー。
その中で、自身を攻撃しようとしている兵隊を止めるために作用するのが、制御性T細胞なのです。つまり制御性T細胞があれば、免疫反応は起こらなくなります。この働きに着目し、拒絶反応時に出動する兵隊をかたっぱしかた抑制していくのでしょう。確かにこれで成功すれば免疫抑制剤はいりませんね。特定のリンパ球を抑制できるので、易感染者にはならないかもしれません。
理屈では分かっても実際に出来るとは、いやはや。