北里大学(本部・東京都港区、柴忠義学長)は来年4月に入学する学生約1700人に対し、はしか、風疹の免疫の有無を確認させ、免疫が不十分な場合、自主的なワクチン接種を要請するなど徹底した対策を実施する方針を決めた。
一部の大学で、入学後に免疫検査を実施しているが、入学前に接種を求めるのは異例。はしかが流行する4〜5月までにワクチンの効果を高める狙いもあり、他大学も追随する可能性がある。
厚生労働省の集計によると、今年4月〜7月21日までに、はしかで休講措置を取った大学は延べ90校。1回接種では十分な免疫ができなかったため大流行したと見られる。同省は昨年度から、小児の2回接種を呼びかけるが、努力義務のため接種率は不十分だ。
同大はこうした事情を踏まえ、新入生全員に、〈1〉はしか、風疹などワクチン接種証明書を入学時に提出する〈2〉はしか、風疹のワクチン接種歴が1回以下の場合、入学前に検査を受け、免疫がない場合はワクチンを接種するよう通知する。大半の学生はワクチン接種は1回と見られる。入学後の健康診断でも血液検査を行い、場合によっては追加のワクチンも接種する。
北里大はこれまで医学部など病棟での実習がある4学部で入学後の免疫検査、ワクチン接種を実施してきたが、今年5月に4学部以外の1年生を含む2人がはしかを発症。全7学部の1年生に休講措置を取った。
同大入学センターの古田土政彰事務長は「学内で議論もあったが、感染症研究の先駆者、北里柴三郎博士の精神を受け継ぐ大学として、学生の健康を守り、患者への感染を予防する責任があると判断した」としている。
全国的には医学部を中心に入学後の免疫検査を実施している。福岡大は医学部のみで、入学生にはしかなど4種類の予防接種証明書の提出を求めている。
医学生は患者さんと接する機会が多いので、患者さんのためにも麻疹ワクチンを打っておくべきです。それを学生全部にやらせようとは、さすが北里大学。先人の教えが生きているといっても寡言ではありません。病気はまず予防から、です。
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