服用した若者や子どもに異常行動や突然死が相次いだインフルエンザ治療薬「タミフル」が脳に達する仕組みを、国内の二つの研究グループが動物実験で明らかにした。
脳には薬など異物の侵入を防ぐ「血液脳関門」という防御機能があることなどから、厚生労働省の作業部会などは服用と異常行動の因果関係に否定的な見方を出していたが、それを覆す可能性のある研究結果として注目される。
タミフルは、体内に入ると主に肝臓の酵素によって「活性体」に変わり、ウイルスの増殖を抑える。一方、血液脳関門では、「P糖たんぱく質」という物質が脳に入ろうとする異物を排除する。
荻原琢男・高崎健康福祉大教授らは、タミフルを、通常のマウスとP糖たんぱく質を作れないマウスに投与して比較した。その結果、P糖たんぱく質を持たないマウスでは、脳内のタミフル濃度が血中濃度の65〜85%にも達し、通常のマウスの14〜17%より大幅に高かった。また、活性体を直接投与したところ、いずれのマウスでも脳に達したタミフルの濃度は血中の1%程度に過ぎず、活性化前のタミフルが脳に達しやすいことがわかった。
人間の場合、肝臓の酵素や脳のP糖たんぱく質の量には個人差がある。この動物実験の結果が人間にもあてはまるとすれば、一部の人の脳にはタミフルが届いてそこで活性化され、影響を及ぼす可能性があることを示す結果だ。
血液脳関門の機能が完璧ではないためにタミフルによる異常行動が起こったのではないか、という説です。
血液から脳に物質が分泌される際に、血液脳関門と呼ばれる機構が働いて、不純なものを通さないようになっています。
P糖たんぱく質は、消化管粘膜や腎尿細管上皮、血液脳関門などで、異物や薬物などを細胞外へ排出する作用を持っています。今回はココに個体差があるという点を注目してタミフルとの因果関係を示しました。
この結果がどう影響するのか分かりません。来年のインフルエンザ流行の際に医療機関がどのようにタミフルを処方すれば良いのかも。
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