看護師不足が深刻になっている。多忙を極める仕事のため、退職者が後を絶たない。厚生労働省の調べによると、全国で看護師が四万人以上不足している。
日本とフィリピンは経済連携協定(EPA)を締結。来年度からの二年間でフィリピンから看護師志望者四百人、介護福祉士志望者六百人の合計千人を上限として受け入れる。
フィリピン人看護師の受け入れが、看護師不足の解消につながるかは、受け入れ枠が少ないこともあり、直接的な効果はそれほどないかもしれない。
入国する看護師はフィリピンの看護師の資格を持ち、三年以上の実務経験のある人たち。六カ月間の日本語研修を経て、病院などで実地研修を行い、日本語の国家試験を受験する。試験に合格すればずっと日本で就労できるが、看護師で三年以内、介護福祉士で四年以内に合格できなければ、帰国しなければならない。
日本語での国家試験には難しい漢字や医療の専門用語があり、フィリピンからの看護師にはかなり高いハードルとなりそうだ。またフィリピンの看護師は優秀とされ、英語圏での需要があり、日本語が必須のわが国にはそれほど流れてこないとの見方もある。
看護師不足の解消を考えるならば、全国で五十五万人いるという、資格があるのに働いていない潜在看護師の職場復帰を図るのが筋だろう。一度現場から離れると医療の進歩についていけない、仕事の過酷さを知っているだけに二の足を踏む、という人が多いようだ。フルタイムにこだわらない、働きやすい環境をつくることが必要だ。
介護福祉士についても、資格取得者は五十五万人いるのに、実際に働いているのは六割ほど。施設では介護職員の不足が目立つ。賃金の低さや労働条件の厳しさが原因だという。待遇の改善が先決だ。
それでもフィリピン人看護師の受け入れが重要な意味を持つのは、初めての労働市場の開放につながるからだ。
これまでわが国では専門的、技術的な分野に限って外国人労働者の就労を認め、一般労働者は原則的に認めてこなかった。ところが実際には労働現場での人不足に対応するため、研修生などの名目で在留条件を緩和、そのことが不法滞在の増加になり、治安の悪化にもつながってきた。
フィリピン人看護師や介護福祉士の受け入れについては、言葉の問題をはじめ生活習慣の違いなどから、不安視する意見もある。
また安価な労働力として活用、日本人の給与水準の抑制に利用されるのではとの懸念もある。病院の中にはフィリピン人看護師を手軽な労働力と期待する向きもあるようだが、協定ではフィリピン人看護師の給与について「日本人と同等以上の報酬」と明記しており、順守させることが大事だ。
わが国では急速な少子高齢化の中で、将来の労働力不足が予想されるだけに、労働市場の開放は避けて通れない。フィリピン人看護師や介護福祉士が、外国人との共生の第一歩となるように期待したい。
日本語の国家試験をパスできるほど優秀な看護師であれば、たとえ外国人労働者であっても日本人看護師と同等の扱いをしなければならないと思います。
要するに「安い労働力だからフィリピン人を雇う」という金銭面的な見方をするのではなく、「看護師としての労働力としてフィリピン人を同等の給与で雇う」べきです。安価で雇うのであれば日本語をここまでマスターさせる必要はないわけです。
今まで日本の医療は、医療従事者を酷使することによって成り立ってきました。しかし最近では医療訴訟やら過労やらで、早々にリタイヤする日本人も結構います。それはそれで結構ですが、いつまでたっても国と厚生労働省は医療従事者を保護する政策を行わないので、日本の医療現場は転覆寸前です。
そこで、やる気溢れるフィリピン人を雇おう、と。能力的にもモチベーション的にも全然問題ないのであれば、日本人看護師と同等の給与で積極的に雇うべきだと思います。同等以上でも構わないと思います、はっきりいって。そのかわり国は、支払っても病院が赤字にならない程度の補填をすべきです。今までが安すぎたんですから。
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保育士の枠も検討して頂きたいです。