男性に厳しく女性に甘いメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の腹囲による国内診断基準が、世界標準と大きく異なる点について、基準策定の中心となった日本肥満学会は19日、「基準を変える必要はない」との見解を公表した。
内臓の周りに脂肪がたまるメタボリックシンドロームの診断基準は、腹囲が「男性85センチ以上、女性90センチ以上」の条件を満たした上で、血圧、血糖値、血中脂質の値のうち2項目が基準を上回ること。来年度から40歳以上を対象に始まる特定健診では、メタボリックシンドロームやその予備軍と診断された人は、生活習慣病予防のための特定保健指導を受けることになる。
しかし、米国の肥満基準は腹囲が「男性102センチ超、女性88センチ超」で、世界的には男性の方が緩いのが普通。特定健診の導入を半年後に控え、基準の妥当性を疑問視する声が出ていた。
これに対し同学会の松沢佑次理事長は、「内臓脂肪の量から腹囲基準を決めたのは日本だけ。単なる肥満基準とは違う」と診断基準の妥当性を訴えた。
メタボ腹に異論、東北大チームが国内基準の見直し迫る
腹部の内臓周辺に脂肪がたまるメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準について、東北大学チームは、腹囲は「男性87センチ以上、女性80センチ以上」が適当とする研究結果をまとめた。
日本肥満学会が中心となって策定した「男性85センチ以上、女性90センチ以上」とする腹囲の国内基準に見直しを迫るもので、今後、論議を呼びそうだ。
今井潤・同大教授(臨床薬学)と浅山敬上級研究員らは、岩手県旧大迫町(現花巻市)で、1980年代から住民の健康を追跡している「大迫研究」の一環として、395人(男性118人、女性277人)のデータを分析した。
その結果、男性は腹囲が87センチ以上、女性は80センチ以上の場合に、血圧が高かったり、血糖値が下がりにくかったりといった、健康問題が見つかる可能性の高いことが分かった。
浅山研究員は「肥満学会の基準のもととなったデータは、分析対象者の3分の1が病院の肥満外来に来ていた人で、偏っている可能性がある。今回の研究は一般的な地域住民を対象に分析しており、少なくとも女性の腹囲基準は見直す必要があるのではないか」と話している。
腹囲を巡っては、男性に厳しく、女性に甘いと言われてきた。これに対し、肥満学会は19日、「内臓脂肪の量から腹囲基準を決めた。基準を変える必要はない」との見解を示した。
んー、まぁ別に日本独自でもいいと思いますけどね。男性が女性より厳しいのだって、日本人は元々痩せていて、かつ女性には皮下脂肪として必要な量がある、といった背景もあるのでしょう。
内臓脂肪量を腹囲で測定できるよう標準化したのは画期的だと思います。対象となる研究の時間や地域によって差は出るのでしょうけれど…厳しいほうがいいにこしたことはありません。
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