理化学研究所は、マウスを使った実験で、免疫細胞を改造することにより、骨髄移植後の重い拒絶反応やアレルギー性ぜんそくの抑制に成功したと17日発表した。
理研の研究チームは、体に侵入した異物を見つけ、リンパ球に攻撃指令を出す「樹状細胞」という免疫細胞に着目。そのおおもととなる細胞をマウスから取り出した。これに特殊な試薬を加え、リンパ球の暴走を抑える機能を強化した樹状細胞に育て、培養して増やした。こうして改造した樹状細胞を、アレルギー症状を持つマウスと、別のマウスの骨髄細胞を移植したマウスに3回ずつ注射した。
すると、気道の炎症などぜんそく特有の症状が著しく軽減。骨髄移植マウスは通常の治療薬を使っても90%に拒絶反応が起きたが、樹状細胞を注射したマウスは20%にしか起きず、しかも症状は軽かった。
免疫という、外部から身を守るのに必要なシステムが、なぜか自分を攻撃するようになったのをアレルギーとか自己免疫疾患と言ったりします。
その「暴走」をとめることに成功した、ということですね。文章で書くと簡単ですけれど、かなり凄いと思います。免疫系等が解明され、治療に役立てられれば、相当多くのことが可能になると思われるだけに、今後の発展にも期待したいところです。
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