福島県の福島医大は16日、遺伝子発現解析技術を活用した新たな抗がん剤などの共同研究・開発を行うと発表した。同日までに新エネルギー・産業技術総合開発機構のプロジェクト「基礎研究から臨床研究への橋渡し促進技術開発」の採択を受けた。
社団法人バイオ産業情報化コンソーシアムとの共同提案。福島医大が臨床拠点となり、共同研究機関として東京医科歯科大、早稲田大、東京大、医薬品開発の拠点として製薬7社が参画する。
福島医大は遺伝子発現解析をする臨床がんサンプルを提供し、治療経過や生活習慣などの臨床情報を統合したデータベースと照合することで遺伝子群の臨床での有効性を検証する。
その後、新たな抗がん剤、がん鑑別診断薬(マーカー)の標的となるがん細胞の分子を特定し、製薬会社が新薬の開発などに取り組む。研究期間は今年度から2年間で、実績により平成23年度まで延長する可能性がある。プロジェクト終了後に順次、治験を開始する。
福島医大医学部解剖・組織学講座の和栗聡教授は「欧米に比べて遅れている新薬の開発、新たながん医療を成功させたい」としている。
久々の福島医大のニュース。しかも抗がん剤。
確かに日本は新薬の開発が遅れていますが、それは研究者の質が悪いというわけではないでしょう。環境的因子、風土的規制が多く存在するため欧米に比べてゆっくりなのも、日本の特徴です。
しかし新薬開発に関していえば、早ければ早いほど良いと思います。病気に「今」かかっている人は、待ってはくれないのですから。
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−ヘテロ際クリックアミン誘発肝および大腸発ガンに対して−
藤田健一(厚生労働省 国立がんセンター研究所 化学療法部)
http://read.jst.go.jp/public/cs_ksh_012EventAction.do?action4=event&lang_act4=J&judge_act4=2&code_act4=5000006658
津田洋幸(国立がんセンター研究所化学療法部部長)
http://www.med.nagoya-cu.ac.jp/moltox.dir/j/tsuda2.html
ラクトフェリンによるがん抑制機序の解明
研究分野: 生物系薬学
厚生労働科学研究費補助金(機関内共同研究)1999−2005
わが国での死因の第一位は癌であり、癌の発生、転移、再発に対する癌予防方の確立は重要な課題である。がん予防に関して、ある物質を食物に加えて積極的に予防を成功させようという試みが化学予防(chemoprevention)といわれる領域であるが、これまでの動物実験から、多価不飽和脂肪酸、カロテノイド、およびポリフェノールなどに発ガン発癌予防効果のあることが示されてきた。しかし、それらは有効用量で毒作用を発現したり、標的以外の臓器に発癌プロモーション作用などの副作用が観察され、実際綿での応用まで進められているものは少ないのが現状である。著者らは哺乳動物の初乳中に高濃度に存在するラクトフェリンが経口投与で種々の臓器において発癌を抑制することを見出した。本稿では、環境変異原物質であるヘテロサイクリックアミン誘発肝および大腸発癌に対するラクトフェリンによる癌化学予防効果とその機序について概説する。
『医学のあゆみ』 Vol.204 No.1 2003.1.4 P.101-104