医師資格を持たない男が岐阜県北方町で眼科診療所を開設していた事件で、県警生活環境課と北方署などの合同捜査本部は二日、医師法違反(無資格者の医業禁止)の疑いで同県瑞穂市野白新田、無職河口哲也容疑者(32)を逮捕した。「母が病弱で父一人で生計を立てており、金もうけをして親を楽にさせようと思った」と動機を話している。
調べでは、河口容疑者は北方町のショッピングセンター内に開設した眼科診療所「アイクリニック北方」で、二〇〇五年十二月三日から今年七月三十一日にかけて患者十人に二十六回にわたって問診や検眼をし、コンタクトレンズの処方などの診療行為をした疑い。この間、約七千五百人に約一万二千五百回の診療行為をし、約五千五百万円の収入を得ていた。七月末には、とびひだった男児(3つ)を結膜炎として目薬を処方し、症状を重くさせた誤診もあった。
河口容疑者は大学中退後にフリーターをしていたが、二〇〇一年夏にインターネットで「年収二千四百万円」との眼科医の求人広告を見て、にせ医者を思い立った。インターネットのサイトで見つけた医師免許証の写真をパソコンに取り込み、自分の名前を書き入れるなどして偽造。これを医師免許のコピーとして県に提出した。
同県関市内の眼科診療所で非常勤医として勤め、〇二年から約二年間は関市内で眼科診療所を開設した。
その後、同県大垣市内の病院に勤め、〇五年十一月にアイクリニック北方を開設した。眼科医の知識は書籍やインターネットなどで独学して得たという。
県警は免許証偽造について有印公文書偽造・同行使容疑で調べる。河口容疑者は保険医登録もしており、診療報酬をだまし取ったとして詐欺容疑でも追及する。
よく今までバレませんでしたね…。
確かに眼科なら、知識といっても「STEP眼科」や「標準眼科学」などの入門といわれる参考書を読めば、かなり網羅できるかもしれません。勿論手技や診察とかは臨床の場で掴むしかないので、素人レベルだったと思いますが、逆に言えば医学部六年生と同様の眼科知識までなら独学で得ることは可能なわけです。
そしてコンタクトレンズの処方箋の書き方や、検眼の仕方などは、「眼科診療所で非常勤医として勤め」ていたころに学んだのかもしれませんね。
眼科だけで他の医学知識は何一つ持ち合わせていなくても、眼科だからこそ、バレにくかったといえます。とはいえ命に関わる疾患などもあるので、考えると恐ろしい話ですが。
しかし考えてみると凄い度胸です。書籍で得た知識だけで、研修もせずに単身、眼科診療所へ行って雇ってもらったわけです。正直知識だけあっても何をしていいかわからないのでは。そこを乗り切ったというのが凄い。更に開業まで。