輸入、製造が禁止されている有害化学物質ポリ塩化ビフェニール(PCB)に構造や毒性がよく似た臭素系化合物を、摂南大などが日本人の母乳から検出した。人がこの物質に汚染されていることが分かったのは初めてという。東京都内で開催中のダイオキシン2007国際会議で発表した。
この物質は「塩素・臭素化コプラナーPCB(コプラナーPXB)」。太田壮一・摂南大准教授(環境保健学)らは、国内の21〜33歳の母親7人の母乳を分析し、毒性が最も強いダイオキシンに換算した毒性換算値(TEQ)で、母乳1グラム当たり0.42〜1.41ピコグラム(ピコは1兆分の1)を検出した。旧厚生省研究班の98年度の調査では、母乳に含まれるダイオキシン類濃度は母乳1グラム当たり平均0.86ピコグラムだった。
コプラナーPXBは、国のダイオキシン類対策特別措置法の対象物質コプラナーPCBの塩素の一部が臭素に置き換わった物質。太田准教授らは汚染源は焼却場からの排煙や工場の廃液が考えられると指摘する。
太田准教授は「母乳には免疫などに有益な成分が含まれており、母乳をやめる必要はない。ただ、母乳中の有害物質のリスク評価が過小な可能性がある。コプラナーPXBも加えた方がいい」と話す。
それでも母乳を与えるほうが、今のところはメリットが大きいようです。今後医学的研究が発展していけば、詳しいデメリットも分かるんでしょうけれど。後の世にならなければ悪影響がわからない「環境ホルモン」というのはやっかいですね。
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