愛知県名古屋市中区の名城病院の医師ら6人が音楽バンド「Heartfull Hospital(ハートフルホスピタル)」を結成した。デビュー曲の「経過良好」「絆(きずな)〜今あなたに感謝します」を7月、自主製作CDとして発表。自らを「医療系バンド」と名乗り、医療現場の最前線から患者やその家族に贈る応援歌だ。メンバーらは「音楽と医療の融合で元気を届けたい」と張り切る。
「患者やその家族、現場の医師らを応援する歌があってもいい」
日頃からそう考えていた同病院の内科医、赤澤貴洋さん(33)は昨年10月、音楽が好きな医療機器メーカーの小塚智哉さん(31)と村川卓也さん(32)、同病院の整形外科医、後藤正成さん(29)らに声を掛け、「医療系バンド」を結成した。
ボーカルは、治療を通して知り合った患者の娘でプロ歌手の大咲舞さん(22)=本名・大崎舞=が協力する。
赤澤さん自身、05年から、透析治療に必要な手術の際、患者の好きな音楽を流す試みをしてきた。手術中の苦痛を軽減させるのが狙いで、事前に希望を聞き、北島三郎さんや氷川きよしさんらのCDを流しながら手術をしている。
術後の調査では、約5割の患者が「前回の手術より痛みが軽かった」と答えた。また、「手術時間を短く感じた」という患者も約7割いた。
赤澤さんは「医療もサービス業の一つ。好きな音楽を流すだけで痛みが軽減されるなら、どんどん採り入れていきたい」と話す。
その延長線にあるのがバンド活動だ。赤澤さんは、中学時代からギターやピアノを始め、医師になってからも趣味で音楽活動を続けている。
バンドでは作詞作曲とギターを担当。「身も心も疲れ切った現代社会に元気を贈る医療関係者からの熱いメッセージ」をテーマに、オリジナルソング2曲をつくった。
ポップス調の「経過良好」は、医師として、一人の人間として感じた様々な思いを患者やその家族の目線で表現。もう1曲の「絆」はロック調の音楽に乗り、病院での闘病生活を通して、改めて感じてほしい優しさやぬくもり、大切な人との絆を描いた。音楽と医療の融合による、癒やし効果を期待している。
4月初めにレコーディングをし、CD2000枚(1枚1260円)を製作した。全国の主要CD店で発売しているほか、病院内の食堂や療養型病棟でも流している。今後は、他の病院や老人ホームなどへの慰問活動にも力を入れていく予定だ。
赤澤さんは「病魔と闘う患者とその家族、それを支えるすべての医療関係者に聴いてほしい応援歌であり、感謝の歌」と話す。
「経過良好」……、なんてセンス溢れるタイトル。
医療従事者って、音楽系に秀でている人が多いんですよね。医者の家系といえばピアノを習わせるのが常みたいなところあるじゃないですか、あれは実際医学系には反映されていると思います。幼い頃ピアノなどの楽器系統を習ったことがある人ってのはかなり多いです。
で、そのスキルを生かしてバンドを組んじゃったと。ボーカルが患者の娘って、こりゃもう巡り合わせですわな。心温まる曲を全国の病院に届けてくれることを期待してます。
…こういうアクティブな活動みてると、私も何かやりたくなってくるから不思議ですね。といっても私が得意とするのは「ハモり」程度の代物なので、活躍の場もなく引退状態ですが。
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