二〇〇四年度から始まった臨床研修制度で、医師免許をとった医学生が研修先の病院を選べるようになり、研修先として人気の低い地方の病院や大学病院は、研修に来てもらおうと知恵を絞っている。医師不足が深刻な岐阜県高山市の高山赤十字病院は夏休みを利用し、医師免許をとる前の医学生にアピールするため病院見学を積極的に受け入れている。交通費を一部負担し、宿も用意する厚遇ぶりだ。
高山赤十字病院は、日本赤十字社の全国調査で二十五人もの医師が不足しているとされ、東海地方では不足が突出している。
夏休みに実施しているのは、医学部五、六年生を対象にした「医学生夏季実習」。二泊三日で希望する診療科を見学できる。病院が交通費として一人一律一万円を補助し、宿に看護師寮を提供する。
昨夏は広報不足で参加が少なかったため、今年は全国の大学の医学部に資料を送り、専門誌や病院のホームページでも紹介してPR。これまでに岐阜大や京都大、大阪大、千葉大など全国七大学から計十四人の申し込みがあった。
八−十日に内科と小児科を見学した岐阜大の松本英樹さん(25)は「高山日赤は地域に一つの大病院なので、初期から高度医療まで広く経験を積めるのが魅力。指導態勢もしっかりしている」。循環器科などを見学した島根大の後藤磨磯さん(23)も「大学でへき地医療について学んだことが生かせる。高山のような心休まる地は、住む場所としても最適」と好感触だった。
研修医は、医師不足の病院にとって大きな力となるが、高山赤十字病院は八人の受け入れ枠に対して、過去二年はいずれも五人にとどまっていた。
病院側は、夏休みの見学に参加した学生が研修医で来てくれることを期待。棚橋忍院長(60)は「指導医や研修プログラムの質には自信があるが、待っているだけでは研修医は集まらない」と積極策の狙いを語った。
多くの研修医は「経験を積んで医療技術を身につけたい」と、患者数が多く、幅広い初期診療を学ぶことのできる病院に集中しがちだ。東海地方では、指導体制が伝統的に整っている名古屋大の関連病院で人気が高く、研修医の数は、制度開始前に比べて約二倍に膨れ上がっている。
一方、高度先進医療を扱う大学病院や、患者の少ない地方の病院などは人気が低迷する傾向にあり、医師不足の一因にもなっている。こうした現状を打開しようと、多くの病院が工夫を凝らしている。
三重大病院は昨年から、循環器や消化器など各分野の内科医五人が医局の壁を超えてチームを組み、回診などを通じて研修医を教育する研修システムを導入。名古屋市立大病院も今春から、同様に、内科の総合的な診療を身につける体制を整えた。
三重県志摩市の県立志摩病院は医学生よりもさらに若い“たまご”たちにも目をつけた。今月四日、医療に興味を持つ地元の中高生や医学生と、病院スタッフが交流する会を市内のリゾート施設で開いた。
やる気のある研修医が選ぶところというのは、「経験を積ませてくれる」か「最先端医療に触れられる」か、だと思います。
自分が将来どういう医者になりたいのか、どういうことをしていきたいのかを突き詰めれば、研修先は何も都心部である必要はありませんし、綺麗な大学病院である必要もないわけです。むしろ三重大学や高山日赤のように、研修医を成長させる自信がある、としているところのほうがよっぽどいいスキルアップになると思います。
まぁ、とはいっても情報不足な感は否めないですよね、実際。こうやって記事となってアプローチできるところなんて数が知れているわけですから。詳細なメリット(秀でている診療上のポイントや研修後の進路、コネクションなど)を各受け入れ先が書けば、どこかに偏るなんてことはなくなると思うんですけどね。
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