新潟県中越沖地震の被災地で、アレルギーのある子どもなどへの対応が、十分とられていないことが分かった。混乱の中で食物アレルギーに対応した食べ物がなく、当初はおにぎりしか口に出来ない子どもや、断水で入浴できずにアトピー性皮膚炎が悪化するなどの例が出ている。専門のNPO法人がアレルギー食を現地に送る体制を整えたが地元自治体の受け入れ態勢ができずに実現しておらず、NPO法人は「アレルギー患者には切実な問題」と訴えている。
柏崎市西本町の母親(33)は、長女(2)と生後5カ月の乳児を抱え、被害が少なかった同市内の実家に避難。しかし断水で水が出ず、アトピーと卵などの食物アレルギーがある長女のケアに窮したという。発生後数日は風呂の残り湯をカセットコンロで沸かし直して体をふいた。アレルギーに対応する食品も、地震で商店にそろわないため、当初に与えた食べ物は卵が含まれていないことが確実なおにぎりと、畑のトマトだけだった。
厚生労働省のアレルギーに関する研究班が05年にまとめた調査によると、乳児期の食物アレルギーの疾患率は10%、3歳児は約5%。被災地にも相当数の患者がいることが予想される。
最も被害が大きかった柏崎市の避難所を回った保育士によると、地震直後は水がなく、子どもたちの湿しんが目立った。アレルギーを持つ子どもの処置に追われる医師も多かったという。
NPO法人「アレルギー支援ネットワーク」(愛知県岡崎市、中西里映子事務局長)はアレルギー患者を「災害弱者」と位置づけ、3年前の中越地震や今年3月の能登半島地震でも救援活動をした。
今回の地震でも、発生2日目にメールで同市災害対策本部に支援を申し出た。アレルギー対応の粉ミルクや離乳食などをメーカーから直送してもらう準備を整え、被災者あてのチラシを現地入りした救援ボランティア組織に託した。しかし、これまでに市から返答はなく、支援は実施されていない。避難所にもチラシは配られていないという。
中西事務局長は「被災地での患者のケアは見逃されがち。食物アレルギーでショック症状を起こすケースもあり、軽視できない。行政は発生直後からもっと敏感に対応すべきだ」と話す。
難しいところですね。特にアレルギー疾患をお持ちのご家庭は、災害に備えて食べ物、飲み物を備蓄しておくぐらいの工夫をするのが一番現実的だと思います。勿論そういう対策を行ったうえで、行政側は何らかの援助、つまりアレルギー疾患の患者がいるということを念頭に置いたケアをしていかねばなりません。