沖縄県内で昨年7月、インフルエンザ治療薬タミフルを飲んだ後、9階から転落死した中学1年男子を調べたところ、脳からはタミフルが検出されなかったことが、福家千昭・琉球大医学部准教授(法医学)らの研究で分かった。
27日に都内で開かれる日本中毒学会で発表する。タミフルが脳に入るかどうかは、異常行動との関連を考える上で、早急な解明が待たれている課題で、安全性を巡る論議にも影響を与えそうだ。
福家准教授らは、タミフルやタミフルが薬効を発揮するように体内で変化した物質が、生徒の各臓器にどの程度あるか調べた。タミフル自体は、どの臓器からも検出されなかったが、薬効のある物質は、血液から作用を発揮する十分な量が検出された。肝臓や腎臓にも高濃度にあったが、脳からは検出されなかった。
福家准教授は「一つのデータで結論は出ない」と慎重だが、タミフルに詳しいけいゆう病院(横浜市)の菅谷憲夫小児科部長は「検出限界以下の量が脳にあった可能性はあるが、常識的に考えて、脳に悪影響を及ぼすとは考えにくい」と話す。
タミフルの脳への影響については、厚生労働省作業部会が、輸入発売元の中外製薬に動物実験の実施を指示している。同社によると、人でのデータは今回の報告が国内では初めて。
今回はたまたま検出されなかっただけかもしれませんし、別の物質の作用として脳に異常を来たした可能性も考えられます。しかしながら今のところ、因果関係は不明、ということです。
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