交通事故やスポーツでのけがなどをきっかけに、頭痛やめまいなどの症状を引き起こす「脳脊髄液減少症」の診断基準などを策定するため、厚生労働省は、日本脳神経外科学会など7学会で構成する研究班を発足させた。
診断基準などを巡り意見が割れていた、この病気の本格的な研究が、国の支援で始まることで早期の治療法確立などが期待される。研究班長の嘉山孝正・山形大医学部長が19日記者会見し、明らかにした。
脳脊髄液減少症は、交通事故などの衝撃により、脳を保護している硬膜が破れ、脳や脊髄の周囲を循環している脳脊髄液が漏れることによって発症するとされる。患者団体のNPO法人「脳脊髄液減少症患者・家族支援協会」によると、国内には20万〜30万人の患者が潜在的にいるという。
しかし、これまで統一的な診断基準がなく、症状を訴えても、適切な治療が受けられないまま、苦しんでいる患者も少なくない。このため46都道府県議会が研究推進を求める意見書を採択している。
研究班には、整形外科や神経外傷などの学会代表のほか、画像診断や統計学の専門家らも加わる。研究は9月からスタートし、3年間で、発症の原因調査、診断基準の策定のほか、有効な治療法を探り、治療指針もまとめる。
外から見て分からない、しかも馴染みの薄い疾患ですので、世間一般の方の理解も必要です。治療方針や診断基準は固まりつつありますので、臨床的にも精神的にも苦しみから解放される人は多くなるのではないでしょうか。
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