第一章 動機
1年ぐらい前に、当医学処の献血ニュースで、「身をもって体験してくる!」と豪語した私ですが、それからズルズルと月日が過ぎていきました。行わなかった理由としては、太いといわれている注射が怖いということも正直なところありましたが、主な理由としては「暇がない」、これに尽きます。そもそも用事があるから街に出るわけでして、一体何時間かかるのか分からない献血会場に足を運ぶはちょっと厳しい、と感じてしまうわけです。
結局、「献血ってどうやって行うのかいまいちわからない」というのが根本なのですよね。というわけで1年のスパンを経て、私「さじ」が献血に行って参りました。
第二章 入室
まず場所は、駅前のショッピングモールみたいなところにある献血会場。随時献血を行っているこのような施設と、移動献血カーみたいな、定期的に行っているところがあります。今回は自分から足を運ぶという意味で施設をチョイス。駅前にはプラカードを持ったボランティアらしきおばちゃんが「献血お願いします」と呼びかけていました。
入ってみると、そこは医療系施設とは思えないほどまったりした空間でした。入り口のすぐ近くに自動販売機が、左側には漫画の陳列してある棚が、そして間の空間には椅子、机、ソファなどがあり、飲み物を飲みながら漫画を読む若い男女、顔なじみらしい職員の人と話すおばちゃんなどがいました。時間は15、6時ぐらいで、学校や会社があるからあまり人はいないだろうと思って行ったにもかかわらず、結構いましたね。
窓口に行き献血初めてなんです、と告げると親切に色々教えてくれました。初回の人は、必要な情報をコンピューターで画面をタッチして入力します。献血の種類は「400ml」にしました。
「準備が出来たら呼びますので、飲み物でも飲みながらお待ち下さい。あ、そこの自販機はタダですんで、何杯でもどうぞ。」と言われたので、カルピスウォーターを選んでしばし待つことに(本当はコーヒーを飲みたかったんですが、利尿作用が働くとまずいかな、と思ったので。飲み物をどんどん摂取させる意図は、循環血液量を増やすためのものです)
もう一度呼ばれて窓口へ行くと、献血カードを作るので、暗証番号を入力してくれ、と言われます。適当な番号を入れればOK。椅子に戻る前にスポーツドリンク500mlのペットボトルを渡されました。更に机の上にはクッキーが並んでおり、食べて良いことになってます。
第三章 確認
さてここで、先ほどコンピューターで入力していった、「献血できるかどうかの項目」をご紹介。これは、献血をやる前に文書でも渡されます。
お願い!
輸血は、患者さんの命を救う手段として行われます。
寒邪さんの安全のため、安心して輸血を受けられるような献血をお願いします。
以下に該当する方は、献血をご遠慮ください
1.エイズ(HIV)検査が目的の方 (エイズ検査の結果はお知らせしません)
2.この1年間に、不特定の異性との性的接触があった方
3.男性の方でこの1年間に、男性との性的接触があった方
4.この1年間に、麻薬・覚せい剤を使用した方
5.輸血や臓器の移植を受けたことがある方
6.B型やC型肝炎ウイルスやエイズウイルスの保有者(キャリア)と言われた方
7.梅毒、C型肝炎、又はマラリアにかかったことがある方
8.海外から帰国(入国)して4週間以内の方
9.昭和55年(1980年)以降、ヨーロッパの対象国に滞在(居住)された方 (国名、期間等、詳しくは受付におたずねください)
10.この3日間に、出血を伴う歯科治療(歯石除去を含む)を受けられた方
要するに、感染の危険がなければ問題ないよ、ということです。あとこの他に、ちゃんと睡眠を取ったかとか、朝ごはんを食べてきたかとか、1週間以内に採血したか、とか聞かれます。
第四章 献血
いよいよ、献血ルームに呼ばれました。ドキドキです。中は医療機関だなぁと思うような構造ですが、あまり堅苦しいイメージはありません。子供向け歯科医みたいな感じですかね。横になれる設備と、献血するための機械、毛布、そして小さいテレビがいくつもあります。
まず医者の問診です。ここでは先ほどチェックした内容の再確認が行われたり、血圧が測られたりします。私の時は温厚そうなおじいちゃん先生だったので、談笑しながらの問診となりました。
次に採血です。採血といってもここで行うのは「血液型が本当に合っているかどうか」のものとなります。自分の血液型を知らなくても知っていても全員行うものです。血液型が「確定」されるので、曖昧な人は良い機会ではないでしょうか。検査方法は、紙の上に血液を垂らして色で判定するので、瞬時に結果が出ます。ちなみに献血をする腕と逆の腕で取られました。まあ確かに同じほうから2回刺すのはどうかと思いますからね。私の場合は左のほうが「よく見える血管」だったので、右側で採血しました。さすがに上手いです。全然痛くない。
そしていよいよ献血へ。ベッドの上に横になって、腕を差し出します。献血用の針は太いと聞いていたのでドキドキしていましたが…アレ、思ったよりも太くありません。プスッと刺されましたが、これまた全然痛くありませんでした。献血ルームのナース、さすがです。パックの中に血液がどんどん溜まっているのが見えます。正面のテレビではアンパンマンが始まりました。そうだ、恐れないんだ、みんなのために〜♪ そうだ。この血で人が救われるんだ、どんどん搾ってくれ。
7,8分ぐらいしたころでしょうか、パックにはだいぶ溜まっていました。しかし血液の出が悪く、380mlぐらいしたところで看護師さんが針を外しました。「終わりに出が悪くなる人は結構いるし、400mlいってなくても後でちゃんと調整されるから、大丈夫なんですよ。時間がかかりすぎると気持ち悪くなっちゃう人もいますので、途中で外しました」とのこと。そのままベッドで数分横になっているように指示され、血圧を再度測られます。奥のほうでは献血(時間をかけてやっているのでおそらく成分献血)をしている若い女性が、雑誌を読みながらくつろいでいます。常連のオーラが漂っていました。
終わると「お疲れ様でした。飲み物を飲んで、少しお休みになっていて下さい」と言われました。ので自動販売機で飲み物を受け取りソファでくつろいでいました。すると職員の方が「本日はありがとうございました。これが次回から使える献血カードです。裏に、次に行える献血日時について書かれていますので。あとこれは、粗品になります」とか何とか言われて、記念品を頂きました。ワーイ。
帰り際、数年前までガングロでしたという感じの若い女性が入ってきました。こんな子でも献血してるんだなぁと感慨深く思います。400mlも抜いたにもかかわらず身体はフラつかず、むしろ快調。これならまたやろう、と思えるほどノンストレスのまま、帰路に着きました。
第五章 総括
それでは、私同様、献血へいくことがなんとなーく不安だったという方のために、全体の流れをまとめますと
1.入室
2.窓口で自身の情報をチェック
3.飲み物を飲む
4.問診
5.採血
6.献血
7.休息
8.帰宅
となっています。実際には窓口の方のサポートが優れていますし、献血時にもリラックスできるような環境になっています。細かいところは地区によって違うでしょうし、何が食べられるか、何が飲めるか、何がもらえるかといったところも献血会場によって違うと思います。献血カーで献血した人が貰ったものもなかなか豪華でしたし。まあ個人的には、献血に対して不安に思っている人がいるなら、最初は献血ルームでしたほうがいいんじゃないかなと思います。日本赤十字社のサイトから、最寄の献血ルームを検索できますので、一度立ち寄ってみてはいかがでしょう。
献血に行こう!Part2 献血に関する知識を身につけよう。
献血に行こう!Part3 献血後のお楽しみ、おみやげの詳細
献血に行こう!Part4 献血後に届く血液検査結果についての詳細
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