細胞中に存在するタンパク質の一種を静脈に注射することで脳梗塞による脳神経細胞の壊死の広がりを抑制できることを植田弘師・長崎大大学院医歯薬学総合研究科教授(分子薬理学)の研究グループがマウスを使った実験で突き止めた。英国の科学専門誌「セル・デス・アンド・ディファレンティエーション」の電子版で29日、発表する。
研究グループは、脳神経細胞の壊死を防ぐ性質を持つタンパク質「プロサイモシンα」を発見。マウスの脳の血管をつまらせて人工的に脳梗塞の状態をつくり、1時間半後と4時間後の2回、プロサイモシンαを静脈注射で投与した。
その結果、脳神経細胞の壊死の広がりが抑えられ、いずれも運動障害や学習障害をほぼ完全に防ぐことができたという。
脳卒中による死因の多くを占める脳梗塞は、血管が詰まって脳神経細胞が次々に壊死していくため、救命できても失語症や手足のまひなどの後遺症を引き起こす。発症後3時間以内に血栓を溶かす薬剤の投与が効果的な治療法とされているが、脳出血を伴う危険性が指摘されていた。
植田教授は「まだ動物実験段階だが、体内にあるタンパク質なので副作用は少ないとみられ、より安全な治療薬になるだろう」と話している。
凄いタンパク質の登場です。どういう原理で壊死を防ぐんでしょうか。梗塞を少しずつ破壊する機能でも持ってるんでしょうかね。臨床的に用いられれば、後遺症もなく社会復帰でいる人が多くなりそうです。まさに魔法のタンパク質か。
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