抗うつ剤「パキシル」(一般名・塩酸パロキセチン水和物)の副作用の疑いのある自殺や自殺未遂の報告が増えていることがわかった。06年度は自殺・自殺未遂の報告が計39件あり、前年度の計13件から大幅に増えた。パキシルは国内の抗うつ薬全体の約4分の1を占めており、厚生労働省と製造販売元のグラクソ・スミスクラインは服用後の患者の様子を注意深く観察するよう求めている。
厚労省と独立行政法人・医薬品医療機器総合機構によると、パキシルの副作用の疑いがあるとして報告された自殺の件数は04年度は1件だったが、05年度11件、06年度15件と増加。未遂となった「自殺企図」も04年度2件、05年度2件、06年度24件と増えた。
米食品医薬品局(FDA)は昨年、服用者に自殺を試みる行動が増える傾向があると警告。同社は厚労省の指導を受け、昨年6月、国内向けの薬の使用上の注意に「投与中に自殺行動のリスクが高くなる可能性が報告されており、患者を注意深く観察すること」との文言を加えた。
抗うつ薬で自殺リスクが増加することは以前から言われていましたが、パキシル限定なんでしょうか。日本ではパキシル使用率が多いというだけの話では。
抗うつ薬を用いると、今までまるで動けないほど鬱状態だった人が、少し治り始めた段階の時に、「自殺するだけの力を得る」ために自殺が発症するといわれています。機序は不明なのでこの説があっているのかはわからないのですが。
別のあれとしましては、それでも若年者の鬱状態には抗うつ薬を投与したほうがリスクは減る、というものも。まだ薬との因果関係がつかめていないので、どちらがリスクが少ないのかは分からないというのが現状です。
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