2007年06月28日

医学部定員の削減案を見直すべきとする、民主公明共産社民国民新党。

医学部定員:「削減」の閣議決定、5党が「見直すべきだ」

 医師不足が深刻化する中、「医学部定員の削減に取り組む」とした97年の閣議決定について、民主、公明、共産、社民、国民新党の5党が「見直すべきだ」と考えていることが、毎日新聞の主要政党アンケートで分かった。自民も「今後の検討課題」とした。医師数の現状については、民主、共産、社民が「絶対数が不足」と回答し、自民と公明、国民新党は「地方や診療科によって不足」と認識に差があるものの、各政党が医師不足への危機感を示したことで、医師数抑制を続けてきた国の政策が転換に向かう可能性が出てきた。

 アンケートは主要6党に、医師不足に対する認識や参院選に向けた政策などを聞いた。97年の閣議決定については、自民以外の5党が「見直すべきだ」とした。理由では「医師不足の実態に即して医学部定員を元に戻す」(民主)▽「地域医療に従事する医師数を増やし、医療の高度化や集約化に対応する」(公明)▽「地方に住む人々に安心した医療を提供する」(国民新党)を挙げた。自民も「勤務医の過酷な勤務の改善のため、必要な医師数の検討が必要」と、見直し自体は否定しなかった。

 医師数への認識では、自民が「一定の地方や診療科で不足が顕在化している」、公明も「へき地で医師が不足し、小児科、産科の医師不足は深刻化している」と、部分的に不足がみられるとの姿勢。一方、民主は「OECD(経済協力開発機構)加盟国平均にするには10万人足りない」、共産が「『医師が余っている』地域はない」、社民も「このままではOECD最下位になる」として、3党とも絶対数が不足しているとの認識だった。

 医師数を巡っては、政府が「人口10万人当たり150人」を目標に、73年から「1県1医大」を推進し、83年に目標を達成した。しかし、旧厚生省の検討会が84年、「2025年には全医師の1割程度は過剰になる」との推計値を公表し、同省も各大学に医学部の入学定員を削減するよう協力を求めた。97年には政府が定員削減を継続することを閣議決定し、現在も政策の基本となっている。

 しかし、医療の高度化や高齢化を受け、OECD加盟国の多くは医師数を増やし、04年の加盟国平均(診療に従事している医師数)は10万人あたり310人。日本は200人で、加盟国中最低レベルだ。

 ■主要各党が参院選で訴える主な医師不足対策■

 【自民・公明】 不足地域に国が緊急的に医師を派遣する体制を整備。研修医の都市への集中を是正するため、臨床研修病院の定員を見直す

 【民主】 10%削減された医学部定員を元に戻し、地域枠、学士枠、編入枠とし、医師育成の時間短縮や地方への医師定着を図る

 【共産】 閣議決定を撤回し、医師養成数を抜本的に増やす

 【社民】 医師を増員し、労働環境を改善するとともに、医療の高度化・複雑化への対応、質と安全の向上を行う

 【国民新党】 OECD並みの医療費確保を公約として掲げ、世界一の国民皆保険制度の堅持を目指す



 なんでこういう政策提示となると共産党や社民党が一番うまいんだろう。

 自民党が「地域や科によって不足している」と考えるのは、甘いですね。どこの地域、どこの科でも不足しているんです。特に患者のために献身的に働く医師や、医学に情熱を持ち続ける医師ほど、不眠、過労傾向にあります。都心だから楽というわけではありません。

 そもそも医者が楽して儲けすぎと、医者バッシングの風潮を作り出したのはマスコミで、何でそんな流れを作ったかというと厚生労働省や政治家が医療費を削減したかったために、医者のほうに矛先を向けたんですよねぇ。それなのに手のひらを返したかのようにこうなるのは、何とも不思議な話で。政治っていうのはやはり損得でうまいこと動かないといけないんでしょうねぇ。

 公共事業費を一般国並みに減らせばいい、という考え方を採用すると、企業からの献金が途絶えるために絶対行わないのでしょう。それでも決行する、というガッツある政治家が増えてくれることを願っております。

関連
医学処:地方の医師不足を解消するためにも、医学部の定員を早急に増やすべき。
医学処:福島県立医大の推薦枠を倍にして、県外からも推薦受け入れを行う。
広告
posted by さじ at 19:59 | Comment(0) | TrackBack(0) | 大学
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:


この記事へのトラックバック