糸満市の南山病院が五月一日から、県内の精神科病院で初めて敷地内全面禁煙に踏み切った。精神科の敷地内全面禁煙は全国的にも少ない。同院では、入院患者や職員の喫煙率は約六割だったが、現在、患者ゼロ、職員一割以下と大幅に減少した。全面禁煙と同時に禁煙外来もスタートさせた。開始から約一カ月がたったが、患者らから「体調がよくなった」「病室がきれいになった」など評価の声が上がっている。
精神科では一般的に「患者のリラックスにたばこは良い」との考えがあり、職員からも「精神科で禁煙は難しい」「患者が余計、不安定になるのでは」との意見もあった。
しかし、譜久原朝和院長は精神科閉鎖病棟での火災を懸念し、約三年前から禁煙勉強会のほか、分煙室を設置したり、喫煙時間を決めるなど徐々に喫煙しにくい環境づくりを進めてきた。禁煙に成功した職員が体験談を話したり、職員らで禁煙広報誌を作製、名札に禁煙シールやアップリケを作るなど全面禁煙に向けて取り組んできた。
一日に約六十本吸う患者が禁煙に成功すると、「あの人が禁煙できたなら、私もできる」と勉強会の参加者が増えるなど禁煙が広まった。その結果、入院患者約二百人中、約六割もいた喫煙者はゼロに。約百九十人の職員の半数が喫煙者だったが、一割以下まで減った。
同院では敷地内禁煙の重要な取り組みとして(1)職員・患者が喫煙について勉強し、正しい知識を持つ(2)職員が意識改革をして、たばこのない環境を整備すること―を挙げる。
禁煙できた女性患者は「体調がよくなった。家族に迷惑(副流煙や経済的負担)を掛けずに済む」。喫煙していない患者からも「(全面禁煙にして)病室がきれいになった」など声が上がっている。
今のところ、患者の禁煙による体調の悪化は見られないという。譜久原院長は「患者が依存症になる前に、精神科も禁煙に力を入れる必要がある。本病院が突破口となって、精神科でも敷地内全面禁煙がどんどん広がってほしい」と語った。
おおおー。凄いですね。禁煙ってかなり精神科領域に近いですよね。本人の意志でやめられるかどうか。そこはさすがプロ。なんと喫煙者ゼロにまでいくとは。
こう、成功したのは、やはり無理に患者に押し付けるのではなく、自分たちで知識を吸収した上で色んなアプローチ法を考え、実行し、うまく信頼関係を築きながら禁煙につなげていったんだと思います。禁煙のための模範モデルとして活躍してほしいですね。マニュアルを作って各禁煙外来に配布するとか。
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