2007年06月06日

手術中継の際に動脈瘤が破裂し患者が死亡。今後の在り方について。

愛知の病院で実演手術の患者死亡、学会が調査報告

 愛知県豊橋市の循環器系疾患の専門病院「豊橋ハートセンター」で昨年9月、医師の研修を目的としたテレビ中継の実演手術をしている最中に、患者の容体が急変し、2日後に死亡していたことが5日わかった。

 病院によると、昨年9月23日、愛知県内の男性患者(63)が、心臓に近い血管にこぶができる胸腹部大動脈瘤の手術を受けた様子が、神戸市内の会場に集まった医師らにテレビ中継された。しかし、手術の最中にこぶが破裂し、中継をやめて処置が行われたが、男性は2日後に死亡した。

 調査委員会では会場から執刀医に質問ができる形式だったことなどから、報告書で〈1〉見学の医師から質問が出たことで、執刀医の集中力を損なった可能性がある〈2〉ショー的な要素があったことが否定できない〈3〉運用指針作成の必要性――などを指摘。調査委員長の八木原俊克・国立循環器病センター副院長は、「技術や知識の普及は大切だが、ストレスのかかる難度の高い手術が中継に適しているかどうかを判断する基準などについて、慎重に考える必要がある」としている。

 これに対し豊橋ハートセンターの大川育秀・副院長は、「心臓血管外科の第一人者といわれる医師が執刀しており、実演手術との因果関係はないと信じている。手術の危険性については事前に患者に説明して納得してもらっていた。あくまで医師の研修を目的とした実演手術で、ショー的要素はない」と話している。



 あー。でも実際難しいところですが、医師のための研修といえど、手術を別の会場で流すとなると普段のオペとは違った姿勢もみられるんじゃないでしょうか。緊張するタイプの人ならば、よりストレスのかかる環境で手術にのぞまなければならないわけですし、逆に人の注目を浴びるのが好きな人は、いつもより集中力が散漫になってもおかしくはないかなと。

 とはいえ手術中継は必要なことだと思うので、どこまで「規制するか」がポイントになるでしょうね。例えば会場と執刀医とは直接コンタクトをとれないようにするとか、質問に答える人は手術に関わる人以外にするとか。医学発展のためとはいえ、患者さんが亡くなっては元も子もないですからね。

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posted by さじ at 02:49 | Comment(0) | TrackBack(0) | 循環
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