塗り絵が様々な場面で活用されるようになってきた。終末医療の現場で「心のケア」として取り入れられたり、脳の健康のために高齢者が楽しんだり――。
こうした塗り絵の活用法や可能性を発信するため、7月15、16日に「国際ぬり絵シンポジウム」が東京・西新宿の京王プラザホテルで行われる。各国から募集した絵を展示する「世界ぬり絵大会」も同時に開く。
埼玉県立がんセンターの緩和ケア病棟では、毎月1回、入院患者向けの塗り絵教室が開かれる。輪郭のある塗り絵なら絵が苦手な人も楽しめ、創作の喜びや達成感を味わえることから、画家の広住道夫さん(66)が7年前から実施してきた。
患者らには思い出深いものを挙げてもらい、広住さんが写真などを参考に下絵をおこして塗ってもらうことが多い。サイズははがき大。短時間で仕上げられ、病室に飾ったり、家族に贈ったりもできる。
今春、教室に参加した男性(72)の趣味は登山。山に咲く「おさば草」を描きたいと要望した。色鉛筆を握った男性は「この花を見たくて何度も山に登ったんだ」と、元気なころを思い出しながら笑顔を見せた。
かつて飼っていた愛犬を題材に選んだ40歳代の女性は、完成した絵を周囲の人に見せて回り、「私が描いたのよ」と胸を張った。
塗り絵は、審美眼や観察力を養い、脳を活性化させることが知られるようになり、最近は大人も楽しむようになってきた。こうした塗り絵の幅広い活用法や可能性に脳科学の専門家らが着目。塗り絵を文化として定着させ、魅力を発信しようと、シンポジウムや世界大会の開催を決めた。
認知症だけでなく、終末期医療にも用いられているとは。思ったより幅広く、効果のありそうな娯楽ですね、塗り絵って。今後の病院内でのツールとして有用かもしれません。スタンダード化すれば、楽しんでくれる高齢者も増えそうですし。
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