両親の禁煙で、毎年少なくとも120人の赤ちゃんを救えます――。愛知県瀬戸市にある青山病院の小児科部長中川恒夫さん(54)が、こんな試算を発表して禁煙の重要性を訴えている。乳幼児突然死症候群(SIDS)の危険性を大幅に減らせるからというのだ。31日は世界禁煙デー。
SIDSは、元気な赤ちゃんが眠っている間に急死する症状。原因は特定されていないが、睡眠中に息苦しくなると自然に呼吸しようとする「覚醒反応」が、うつぶせ寝や受動喫煙などによって妨げられるからではないか、との説もある。
実際、うつぶせ寝や両親ら養育者の喫煙、人工乳保育などが発症の危険性を高めることが分かっている。
80年代には2000人に1人だった発症率は、うつぶせ寝が減ったことなどから年々減少している。それでも国内では毎年約200人の赤ちゃんが死亡。厚生労働省の統計では、国内では1歳未満の乳児の死因で3番目に多く、4000〜5000人に1人の割合に相当する。
中川さんは、世界保健機関(WHO)の調査に参加したニュージーランドの研究者によるデータをもとに、たばこを吸うのが(1)母親だけ(2)父親だけ(3)両親ともに――の3通りの例でSIDS危険度を算出。それぞれ、どちらも吸わない場合の4倍、1.5倍、10倍に高くなると明らかにした。
東京女子医大の仁志田博司教授(新生児医学)は「計算上の話だが、妊娠中の喫煙1本でも赤ちゃんに影響が及ぶことは明らかになっている。大人がたばこをやめることで救える赤ちゃんがいると認識してもらえるデータになるのでは」と話している。
本日、5月31日は、世界禁煙デーです。愛煙家がいるということは分かりますし、煙草を吸うのは各人の自由だと思います。ですが、それは「誰にも迷惑をかけない」ことが前提ですよね。他者に被害を蒙っておいて「自由だ」などと主張するのは単なるお馬鹿さんです。
日本の医療が進歩すればするほど、喫煙による害は顕著に顔を出しています。死亡率トップである癌、特に近年癌の中でも死亡数トップである肺癌は喫煙との関係が強いといわれています。
更に今回のように、赤ん坊にまで影響が出るといわれています。赤ん坊は自分の意思を伝えることができないわけです。もし家の中で煙草を吸っただけで、それは赤ん坊に害を与えているということになります。それは「自由」ではありません。身勝手な罪です。
乳幼児突然死症候群は原因不明とされていますが、喫煙などのリスクで助長することが多いと思われます。ある日突然最愛の子どもが亡くなったとして、その原因が自分の吸っている煙草にあるとしたら。そのような悲劇が起きないためにも、煙草を吸うときは誰にも迷惑をかけないような場所で。
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