内視鏡を使った蓄のう症など鼻の手術の遠隔指導システムを、産業技術総合研究所(茨城県つくば市)が開発した。離れた場所にいる指導医と研修医をインターネットで結び、2人の手元や内視鏡に映った画像を同じ画面上に並べて映し出す。動きが複雑な伝統芸能やスポーツの訓練への応用も期待できそうだ。
このシステムは、指導する側と受ける側それぞれに、鼻の精密模型とカメラを設置。4台のモニターで双方の映像を映し出す。このうち2台は、2人の上半身と手元をそれぞれ合成して並べた映像で、残り2台は鼻の模型に入れた内視鏡の映像が出る。指導医と研修医はこれらの映像を見て、対話しながら訓練する。録画映像を使って、繰り返し自習もできる。
鼻内の内視鏡手術は患者の苦痛は少ないが、高度な技能が要求される。鼻の構造は複雑なうえ、視神経や脳、動脈とも近いからだ。しかし、熟練医は不足しており、地方に勤務する医師への指導機会も少ないなど、医師の技術向上には課題が多かった。
同研究所人間福祉医工学研究部門の熊谷徹主任研究員は「先端医療に触れる機会が減ることを理由に地方に行きたがらない若手医師もいるが、このシステムを使えば研修機会の格差是正にもなる」と話している。
おおー。これは便利。研修医が都心に集中するのは、何も都会に住みたいわけではなく、先端技術に触れる機会が多いからだと思います。
しかしこの技術さえあれば、離れていてもトップクラスの人に指導してもらえるわけです。もしかすると指導医1人に対し同時に複数を指導することもできるかもしれません。もっと応用すれば日本国内だけでなく世界中のプロフェッショナルの技術を身につけることもできるかも。幅広い適用に期待したいです。
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