国立成育医療センター(東京都世田谷区)は19日、生まれつき胆管と腎臓に重い病気を持つ4歳の女子に30代の父親の肝臓と腎臓を同時に移植する手術を実施したと発表した。センターによると、1人の提供者(ドナー)からの肝臓と腎臓の生体同時移植は、海外で複数の報告があるが、国内では初めて。今回は女子と父親の血液型が異なっており、こうしたケースは世界で例がないという。
会見したセンターの松井陽病院長らの説明では、手術は18日午前から同日深夜まで約14時間かけて行われ、父親の肝臓の一部と右の腎臓が移植された。女子の経過は良好で、順調なら2カ月後に退院できる見通し。父親は「早く子どもに会うために歩きたい」と話しているという。
女子は、腎臓内に水のたまった袋(嚢胞)がたくさんできる「多発性嚢胞腎」という病気で生後7カ月で左の腎臓を、9カ月に右の腎臓を摘出して、透析を受けていた。また、先天性の肝内胆管拡張症による胆管炎が原因とみられる敗血症を繰り返し起こし、入院生活を続けていた。
1人のドナーから複数の臓器を同時に摘出すれば、ドナーに大きな負担がかかる。ドナーになれるのが父親しかおらず、センターの倫理委員会などで審議した結果、「手術に十分に耐えられる」と判断したという。松井院長は「小児の場合、現状では脳死提供者からの移植が望めない以上、生体ドナーに頼らざるを得ない。今後、同様の手術が増える可能性がある」と話している。
国立成育医療センター凄いなぁ。おめでとうございます。
こういった生体移植術の場合、ドナー側の体力の問題なども検討しなければいけません。できることなら脳死による臓器移植が増えてもらいたいんですが…日本の現状を考えると非常に厳しい。今後はこういった生体移植の「手術できるぎりぎりのライン」を広げる方向に動く気がしますが、それは人命を左右することです。難しい問題だからこそ、色々議論していきたいと思います。
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