政府・与党は12日、へき地や離島など地域の医師不足・偏在を解消するため、全国の大学の医学部に、卒業後10年程度はへき地など地域医療に従事することを条件とした「地域医療枠(仮称)」の新設を認める方針を固めた。
地域枠は、47都道府県ごとに年5人程度、全国で約250人の定員増を想定している。地域枠の学生には、授業料の免除といった優遇措置を設ける。政府・与党が週明けにも開く、医師不足に関する協議会がまとめる新たな医師確保対策の中心となる見通しだ。
地域枠のモデルとなるのは、1972年に全国の都道府県が共同で設立した自治医科大学(高久史麿学長、栃木県下野市)だ。同大では、在学中の学費などは大学側が貸与し、学生は、卒業後、自分の出身都道府県でのへき地などの地域医療に9年間従事すれば、学費返済などが全額免除される。事実上、へき地勤務を義務づけている形だ。
新たな医師確保対策で、政府・与党は、この“自治医大方式”を全国に拡大することを想定している。全国には医学部を持つ国公立と私立大学が計80大学ある。このうち、地域枠を設けた大学に対し、政府・与党は、交付金などによる財政支援を検討している。
医療行政に影響力を持つ自民党の丹羽総務会長は12日、新潟市内での講演で、「自治医大の制度を全国47都道府県の国公立大などに拡大したらどうか。5人ずつ増やせば、へき地での医師不足は間違いなく解消する」と述べ、“自治医大方式”の拡大を提案した。
医学部を卒業した学生にへき地勤務を義務づけることは当初、「職業選択の自由に抵触する恐れがある」との指摘もあった。だが、「入学前からへき地勤務を前提条件とし、在学中に学費貸与などで支援すれば、問題ない」と判断した。
うまくいくのならいいんですが…。確かに自治医大のシステムは成功していますが、最近では問題も出てきているようです。その問題というのが、卒後に親が全額授業料を払ってしまうケース。つまり在学中は、僻地医療に携わるフリをさせておいて、卒後にそのシガラミから逃れるために授業料を全額払ってオサラバしてしまうという、まぁ正直なところあまりお勧めしないというか、ある意味裏切ってるわけですからねぇ。
この地域枠も、その大学のある地方の人なら入りやすくなったというだけで、開業医の息子とかだったりしたら大学の意向に反することしませんかね。金はあるからとりあえず入りやすいところに入っとけみたいな感じで。
地域出身者というのではなく、僻地医療をやりたいという熱意を面接か何かで見極めるのが一番良いかなーと思います。それが僻地医療をずっと行う良医を育てることにもつながるのではないでしょうか。現に僻地医療をやりたいっていう人はいますしねぇ。
ぶっちゃけ受験の偏差値なんて、大学入学後の知識吸収量とは関係ありませんからね。センター試験の勉強はできなくても、僻地医療に対する熱意があれば医学部の勉強はやっていけると思います。いやむしろ受験で選んだより有能な医師が誕生するのでは?そういう人材をとらないのは国全体の損失と考えますが。
医学処:自治医科大学卒業生の地元定着率は7割