2007年05月17日

タイが無許可でHIVのコピー薬を作ろうとしてアメリカがブチキレる

無許可でHIVコピー薬、タイの決断に米猛反発

 タイ暫定政府が、国内のエイズ患者に安価な治療薬を与えるため、特許を持つ米製薬会社の了解なく「コピー薬」の販売認可に踏み切り、特許侵害を訴える米国側が反発している。

 米通商代表部はタイを「知的財産権保護が不十分」と優先監視国に指定、タイ側がそれに反発するなど、緊張が高まってきた。

 発端は昨年11月、米製薬大手メルク社のエイズ治療薬に対し、タイ政府が、世界貿易機関(WTO)が認める強制特許実施権の発動に初めて踏み切ったこと。その後も、同大手アボット社に同様の措置を取るなど、計3種類の医薬品を発動対象とした。

 米製薬会社のエイズ治療薬代は、月間で平均6000バーツ(1バーツは約3・6円)前後。タイでは同権の発動で特許権に関係なくコピー薬の製造・入手ができるようになり、薬代は3000バーツ以下に抑えられることになった。

 これに対し、2社は2月以降、価格引き下げに応じる姿勢を示す一方、「企業の利益を損なう」と発動中止を強く要請。しかし、タイ保健省は「正当な権利行使」と譲らず、アボット社は4月初旬、新薬販売を中止するとの“報復”措置を決定。同月末には米通商代表部関係者が「タイの一方的な措置は両国に緊張をもたらす」と非難する事態に発展した。

 タイのエイズウイルス(HIV)感染者は現在約60万人。政府は感染拡大防止のため、1990年代後半から治療薬を提供してきたが、高額な薬価がネックとなり、財政を圧迫。5年以上にわたり、2社と価格引き下げの交渉を続けているが、合意に至っていない

 そのさなか、ブラジル政府がメルク社のエイズ治療薬に強制特許実施権発動を決定。途上国の間でタイに追随する動きが広まれば、米欧の医薬品企業への風当たりが国際的に強まるのは必至だ。



 商売面で考えればそりゃアメリカが怒るのも分かりますけど、タイは貧困とHIV問題の板ばさみにあってますからねぇ…。せめてタイには安価で取引をするとかしてくれればよかったんですけど、値下げ交渉には応じなかったわけで、タイ側としても仕方なくの措置だったのでは?

 まぁ…アメリカからしてみれば、そんなにHIVを蔓延させたお前らが悪いって感じなんでしょうけど、命かかってますからね、タイは。たとえアメリカに睨まれても薬を作りたいと必死なんでしょう。難しい問題です。製薬会社だって利益がでなきゃ新薬を開発しようなんて思いませんしね。


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posted by さじ at 20:35 | Comment(1) | TrackBack(0) | 薬理
この記事へのコメント
HIV国レベルで啓蒙活動して防げなかったでしょうか?私は言いたいです
Posted by みか at 2010年02月16日 22:25
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