自殺した人や、しようとした人の8割は、事前に家族や友人に相談していなかったことが、厚生労働省研究班のまとめで分かった。遺族や、未遂だった人の約1700人を調査した。亡くなった人のうち、未遂歴のある人は1割程度で、9割が1回目で死亡しており、「覚悟の自殺が多い」という実態も浮き彫りになった。政府は、年間3万人を超える自殺者を減らす対策を打ち出す方針で、専門家は「重要な調査で、予防に生かすためにも詳しい分析が必要だ」と話している。
警察庁のまとめでは、1998年から、最新調査の2005年まで、毎年3万人以上が自ら命を絶っている。
厚労省の研究班(主任研究者=保坂隆・東海大医学部教授)の調査は、03年8月から06年12月まで、岩手医大病院、福島県立医大病院、近畿大医学部病院(大阪府)、日本医大多摩永山病院(東京都)の四つの救命救急センターで行われた。
センターに運ばれた未遂者1516人と、亡くなった209人の遺族らを対象に、精神科医が聞き取りをした。これほどの大規模な研究は国内で初めて。
自殺の前に、「誰かに死にたい気持ちを話しましたか」という質問に、家族に相談していたのは16.3%、友人にしていたのは8.3%だった。精神科医に相談していた割合は3.8%だった。研究班は「家族と友人の両方に話をしているケースもあり、全体でみれば2割程度が、事前に相談していた」としている。
男女別でみると、男性の未遂者の場合、家族に相談していたのは13.8%、友人5.8%。精神科医2.2%だった。一方、女性の未遂者は、家族に18.0%、友人10.6%、精神科医4.8%で、男性より、周りに打ち明けているケースが多かった。
米国の研究では、自殺を図った人の約2割が、その直前1カ月間に精神科を受診しており、日本と大きな差があった。
また亡くなった209人のうち、確認できた148人を調べると、過去に自殺を試みたことがあったのは9%で、1回目で91%が死亡していた。
複数の欧米の研究では、自殺者の20〜50%に未遂歴があり、今回の厚労省の研究結果より、かなり高くなっている。保坂教授は「1回目で多くの人が亡くなるのであれば、未遂者のケアはもちろんだが、もっと自殺予防やうつ病に関する啓発活動をする方が、効率的ではないか」と話している。
まぁ…家族や友人には近すぎて話せないことって多いですからね。だから2ちゃんねるのような匿名掲示板で現実を赤裸々に話す人が多いんでしょうけれど。ただし匿名掲示板で鬱状態の人がたくさん集まっても、症状が悪くなるだけですので、医師やカウンセラーを交えた匿名掲示板を運営すれば、姿が見えなくてもかなり役立てるように思います。実施するとしても労力とお金が必要でしょうけれど。
アメリカでは精神科に対する偏見も少ないため、気軽に利用する人が多いようです。しかし日本では、外来に来ることすらためらいますよね。緊急的に必要としている人がいるにもかかわらず、そういった偏見にのまれて利用できない人がいるというのは悲しい話です。社会全体が変わっていかなきゃいけないところだと思います。
死にたいと思っている方がいらっしゃいましたら、まず病院へ行かれることをお勧めします。どうしても精神科に行きづらいようでしたら、心療内科へ。ですが専門は精神科ですから、偏見を気にしないで足を運んで下さい。
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