2007年04月22日

災害時はパニックより「大したことない」という心理のほうが危険

災害時、怖いのはパニックでなく「大したことない」心理

 地震や火災が発生し、大混乱となってわれ先にと出口に殺到する人々…。大規模災害というと想像してしまいがちな光景だ。だが、近年研究が進む災害心理学の専門家は、こうした状況で群衆がパニックに陥ることは実は「ほぼあり得ない」と口をそろえる。むしろ懸念されているのは危機を軽視することなどによる「逃げ遅れ」だという。

 東京女子大学教授の広瀬弘忠さん(災害心理学)はまず、2001年9月に起きた米中枢同時テロの際の世界貿易センタービルにおける避難状況の調査結果を挙げる。極限状態とも言えるなか、「非常階段に逃げだそうとする人が殺到したかと思いきや、そうはならなかった」という。

 なぜか。広瀬さんによると、非常事態が迫った人間が逃げない理由は大別すると、2つあるという。1つは逃げようとしても動けない、もう1つは、逃げようとしない−だ。

 前者の理由として広瀬さんが指摘するのは、頭が真っ白になって固まってしまう“凍りつき現象”。米中枢同時テロで、頭上に飛行機が突っ込んだ高層階の人は避難行動に移るまでの時間に平均で約7分を要したのに対し、中下層階の人は2〜4分程度それより早かったという。

 「情報収集に右往左往してしまった人もいますが、あまりのショックにフリーズ(凍る)してしまう人も少なからずいます」

 もう1つ避難行動を妨げるものが、非常事態に直面しても「大したことはない」と判断する心理だという。

 独立行政法人「防災科学技術研究所」では、平成16年に発生した台風23号による水害で、約6300世帯が床上・床下浸水した兵庫県豊岡市の市民を調査した。

 調べに対し、強い風雨に69%が危険を感じたほか、事前に約8割が大雨洪水警報発令を知っていた。だが、「避難しようと思わなかった」と回答した市民が実に半数に達した。「欧米も含めてそうですが、避難勧告が出ても実際に行動に移るのは半分に満たない。安全かどうか自分で判断できないにもかかわらず、“大したことはない”と決めつけてしまう」と広瀬さんは指摘する。

 根底にあるのは、人間の「安心したい」という心理だという。例えば、火災警報機が作動しても「誤報かいたずらだろう」「火事が起こるはずがない」と考え、「異常ではない」という判断に行き着く。「こうした異常だと思いたくない心理的な動きを“正常性バイアス”と呼びます。さらに、『安全が普通』ともいえる先進国の人は危機察知能力が低く、こうしたバイアスがかかりやすい」

 関係者が異口同音に指摘するのは、「逃げることを躊躇せずに」ということだ。広瀬さんによると、「これまでの災害を考えても、逃げて現状よりさらに危険な状況に陥ることはほぼないと考えてよい」という。

 また、重要なのは災害の危険性を十分に認識することだとも指摘する。「過去の災害情報もわが身に置き換え、被害を想像することです。常に『逃げ出す自分』を想像しておくことで、フリーズ状態となっても適切な行動を素早く取れるようになります」

 さらに、自治体に限らず、災害対応に携わる施設管理者には避難誘導を積極的に展開することを求めている。広瀬さんは「混乱を恐れるあまり情報提供に慎重になりすぎるケースが見られる。こうした配慮は無用で、積極的に市民に情報提供すべきだ」と主張している。



 確かに結構大きめの地震が起きても、逃げないでおさまるのを待っていますね、私の場合…。もしかしたらとてつもない地震の前触れかもしれないし、だんだん大きくなる可能性だってあるわけです。特に寝ている時にぐらぐらきても、目を覚ましてじっとしていることが多い。これが人間の心理なんですね…。

 一人でもリーダーシップを発揮できれば、より多くの人を助けることができます。この記事を読んだ方、大災害に見舞われても冷静に、適切に行動してください。

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posted by さじ at 23:20 | Comment(0) | TrackBack(0) | 精神
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