患者に、質が高く安全な医療を提供するため、献体を使った手術トレーニングを日本に普及させようと、医師らがNPO法人「MERI Japan」(名古屋市)を設立し、8日、初のシンポジウムを開く。名前は、「医療技術研修・研究開発施設」を意味する英語の頭文字から取った。
日本の献体は、主に医学生の解剖実習に使われている。死体解剖保存法は、教育や研究目的の解剖を認めているが、教育の中に、外科医の技術向上のための研修が含まれるか不明確だ。「MERI Japan」は昨秋、国に、構造改革特区をつくって研修できるように提案したが、認められなかった。
しかし、欧米では以前から外科医の手術研修や医療機器の開発に利用されている。最近は中国、韓国、タイなどでも献体を使って研修する施設ができているという。
優れた外科医も最初から高度な技術を備えているわけではない。日本では、医師が実際の手術の場で技術を身につけているのが実情だ。そのため、未熟さから手術ミスで患者を死亡させる事故も起きている。
医療事故を防ぐため、コンピューターによる模擬手術訓練装置が研修に使われている。またブタなどの動物での研修では、出血場面を経験できるものの、人間と臓器や骨の位置が異なる。人体でなければ学べないことも多く、海外へ研修に行く医師もいる。特に、整形外科、脳神経外科など骨を削る手技が伴う手術は、実際の人体で確かめることが重要だという。
名古屋市内の整形外科病院長で、「MERI Japan」理事長の蜂谷裕道医師は「ご遺体を医療技術向上の研修に使えるようになれば医療ミスが減り、国民の利益につながる」と話している。
8日午後1時から、医療技術と患者の安全に関するシンポジウムを名古屋市千種区吹上2丁目の市中小企業振興会館で開く。問い合わせは、はちや整形外科病院(052・751・8188)へ。
献体を、技術向上のために使うとは思ってもみませんでした。が、この試みは大変すばらしいものだと思います。日本ではブタを用いてのトレーニングがさかんに行われていますが、整形外科などの骨格が重要視される領域においては、ブタでは対応できないケースも数多くあるでしょう。
今の日本の医療は、「何事も経験が大事だ」といいつつも、その経験を積むためのファーストステップを生身の人間で行っています。勿論内科や盲腸の手術などは指導医もついていますので対応できるでしょうが、非常にデリケートな手術になると経験を積もうにもつめません。
特にこれからの医療は、死亡率云々ではなく「患者の術後のQuality of Life」も考慮しなければなりません。高度な医療ほど患者の術後の成績は良くなるとしても、その高度な医療を果たしてすべての医者が行えるのか、という問題があります。その腕を磨くには献体を用いての技術訓練がもっとも適しているといえるのです。
献体を用いての技術トレーニングは、今のところ法整備されていないため実施できないようですが、倫理的に繊細なことであること以外、認めない理由が思いつきません。倫理的な面にしても、医療従事者と医学生は献体に対して「最大限の尊重」を示していますし、よく都市伝説にあるような「壁に耳あり」のようなことは100%ないと断言できると思います。
この画期的な試みを法的に認めるためには、医療従事者が動くというより、国民が関心をもつべきだと私は思います。何故なら、医者と患者は一期一会の間柄だからです。患者が最初に出会った医者が、何例手術をしたかどうかで手術結果が決まるのは恐ろしいことだと思います。それよりも、技術を磨くための法律改定と、施設の設置を行い、スキルアップの場を作るほうが結果として日本の医療全体のレベルが上がるでしょう。向上心溢れる若手の医者が、高度な医療を行うための「経験」を、安全に身につけるためにも、ご遺体を用いてのサージカルトレーニングは必須だと考えます。
既にシンポジウムは終わったようですが、興味をもたれた方は是非一度、話を聞いてみてはいかがでしょうか。日本の医療を大幅に向上させるかもしれないこの試みが、早期に認められ広く普及することを切に願います。
関連:医学処 献体という行い
医者は当然、遺体を使った技術の向上を図っているもの思っていました。
豚を使い、後は本番で生身の人間を使っているとは!!!! そんな馬鹿な事。
今すぐにも法律を改正すべきでしょう。
万一の時 下手糞な医者の掛かりたくはありません。プロの医者を育てなければいけません。
法律を変えましょう。
何が問題で出来ないのでしょうか。
献体数の問題もあるでしょうけれど、日本の風土上、ご遺体を用いて何かを行うという行為が受け入れられないのかもしれません。