長野県下諏訪町の諏訪マタニティークリニックの根津八紘院長が、「代理出産」のボランティアの公募や、亡夫の精子で女性が妊娠・出産する「死後生殖」を行った問題などをめぐり、日本産科婦人科学会(理事長・武谷雄二東大病院長)は14日、京都市で開いた臨時理事会で、根津院長を厳重注意することを決めた。
根津院長は「(処分に)憤りを感じる」と反発している。
代理出産について、同学会は2003年に会告(指針)で禁止。死後生殖も14日午後開く総会で禁止する予定だ。
根津院長は昨年10月、子宮のない女性に代わって実母が「孫」を産む代理出産を実施したことを公表。さらに今月、死後生殖の実施や代理母の公募も表明。理事会は、これらがいずれも会告に抵触すると判断し、今後実施しないよう厳重注意することにした。
決定について、根津院長は「困っている人がいる実態を調べもせず、学会の価値観を押しつける姿勢そのものが問題だ」と批判。「私のもとに、代理出産のボランティアに応じたいとのメールが約20件届いている。困っている人がいて助けたいという人がいる。これは助け合いの精神の根幹ではないか」と話している。
根津院長は1998年に同学会を除名されたが、03年に会告を順守することなどを条件に和解し、04年に再入会している。
産婦人科領域ではさまざまな問題が起こっておりますが、大抵医者のせいにされています。そういったこともあって学会側としては、なるべく穏便に事を済ませたいと思っているのでしょう。勿論患者のためになることであっても、社会的に混乱を招きかねないことはしたくない、というのが本音でしょう。まぁ、医行為を行うということは、責任は全て医者にあるわけですからね。諏訪マタニティークリニックは患者個人を考え、学会は医療全体を考え、というところでしょうか。両方とも正しい姿勢ではあると思うんで、どこかで妥協すべく法整備をするしかないですね。
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